常習累犯窃盗と保釈

2021-10-27

 

常習累犯窃盗と保釈について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

神戸市内にに住むAさんは、スーパーで万引きしたとしてに窃盗罪で逮捕されました。その後、Aさんは過去10年以内に窃盗の実刑前科を3回有していたことから常習累犯窃盗罪で起訴されてしまいました。Aさんの身元引受人だったBさんは、Aさんのために保釈してやろうと思い、弁護士に保釈請求を依頼しました。
(フィクションです)

~常習累犯窃盗罪~

常習累犯窃盗罪は、万引きなどの窃盗罪を繰り返し、さらに窃盗既遂罪あるいは窃盗未遂罪を犯した場合に問われ得る犯罪です。
「盗犯等ノ防止及処分二関スル法律(以下、法律)」の3条に規定されています。
法律3条の規定は以下のとおりです(ひらがな部分は実際はカタカナです)。

常習として前条に掲げたる刑法各条の罪又はその未遂の罪を犯したる者にしてその行為前10年内にこれらの罪又はこれらの罪と他の罪との併合罪に付き3回以上6月の懲役以上の刑の執行を受け又はその執行の免除を得たるものに対し刑を科すべきときは前条の例に依る

この規定を分解すると、
1 前条に掲げたる刑法各条の罪(刑法235条(窃盗)、236条(強盗)、238条(事後強盗)、239条(昏睡強盗))の罪又はこれらの未遂の罪を犯したこと
2 1記載の犯罪を常習として犯したこと
3 1記載の犯罪又はそれらの犯罪と他の犯罪との併合罪につき、懲役6月以上の刑の執行を受け又はその執行の免除を得たことがあること
4 3が、行為前の10年以内に3回以上あること
となります。
常習累犯窃盗罪の法定刑について、法律3条では「前条の例に依る」とされています。そこで前条、すなわち法律2条を見ると、法律2条では「窃盗を以て論ずべきときは3年以上の有期懲役に処す」とされていますから、常習累犯窃盗罪の法定刑は3年以上の有期懲役ということになります。
執行猶予付きの判決を受けるためには、「懲役3年以下」の判決の言い渡しを受けることが必要ですから、常習累犯窃盗罪で有罪となると、基本的に実刑を覚悟しなければなりません。

~保釈とは~

保釈とは被告人(裁判にかけられた人)が保釈金を納付して釈放されることをいいます。
司法の世界では、裁判で有罪が確定するまでは無罪が推定される建前なので、逃亡や証拠隠滅などのおそれがない場合には、出来るだけ一般の方と同じように扱うという趣旨の制度です。
保釈のためには裁判官(第1回公判後は裁判所)に保釈請求する必要があり、裁判官や裁判所が許可すれば、保釈金納付後に釈放されます。
犯罪をして逮捕されると、その後の勾留と呼ばれる期間と合わせて最大23日間身体拘束され、その後に裁判にかけられる(起訴される)流れになりますが、保釈請求は起訴された後にしか行うことができません。

保釈が許可され釈放となれば、本人様はもちろんそのご家族様の肉体的・精神的負担の軽減,生活の立て直しにもつながります。また,身柄を拘束されているときよりも,裁判に向けて再発防止のための具体的行動を取りやすくなる、弁護士と綿密に打ち合わせを行うことができるというメリットがあります。ただし、保釈には多額のお金が必要となる(※お金をご準備できない方は,日本保釈支援協会が行う保釈保証金立替システムのご利用もご検討いただけます)こと、請求が許可されても様々な条件が課されること,条件を守らなければ保釈保証金は没収され再び収容されることなども頭に入れておかないといけません。

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