(事例紹介)置いてあった財布を置引き~窃盗罪と遺失物横領罪~

2023-03-26

事例

 大阪府曽根崎警察署は、大阪市内の公園で財布を置き引きしたとして、窃盗罪の疑いで会社員の男を逮捕しました。
 男は、会社の昼休みに弁当を食べるため公園に入ったところ、ベンチに財布が忘れてあるのを発見し、これを持ち去っていました。
 財布は、母子で公園に遊びに来ていた母親の物で、一時的に公園内のトイレに行こうとしてベンチに財布を置き忘れていました。
 母親が、トイレに向かい3分ほどで財布をベンチに忘れたことに気づいて戻った時には財布がなくなっていたため警察に相談したところ、男の犯行であることが防犯カメラの映像などから明らかになり今回の逮捕に至りました。
(フィクションです。)

置き引きには何罪が成立するか

置き引きとは、置いてある他人の荷物を持ち逃げすることをいいます。
参考事例の場合の他に、ATMの上に置き忘れていた財布を持ち去ること、駐車場に止めてある自転車のカゴから他人のバックを持ち去ること等が考えられます。

置き引きをした場合には、窃盗罪又は遺失物等横領罪が成立します。
それぞれの罪について見ていくと

窃盗罪とは
窃盗罪は、刑法235条に定められています。
「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」
窃盗罪は、他人の財物を窃取した場合に成立します。
「窃取」とは、他人が占有している財物を占有者の意思に反して自己又は第三者の占有に移転させることをいいます。
そのため、「他人の財物」とは、他人が占有している物である必要あります。

遺失物等横領罪とは
遺失物横領罪は、刑法254条に定められています。
「遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。」
遺失物横領罪は、遺失物や漂流物等の占有を離れた他人の物を横領した場合に成立します。
簡単にいうと、遺失物や漂流物などの占有を離れた他人の物を、自分の物として自由に扱った場合に遺失物等横領罪が成立します。

 

窃盗罪と遺失物横領罪の違い
窃盗罪の客体は、「他人の財物」であり、これは他人が占有している他人の所有物をいいます。
一方で、遺失物横領罪の客体は、「遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物」です。これは、他人の所有物であっても他人の占有が及んでいない物のことをいいます。
つまり、窃盗罪と遺失物等横領罪を区別しているのは、持ち去った物に他人の占有が及んでいるか否になります
占有が及んでいるか否かは、財物に対する事実的支配と占有意志を総合して社会通念にしたがって判断されます。
占有の有無の判断要素や判例の判断については、次回ブログで説明していきます。
そして、置き引きなどをしてしまった方に大きな影響がある違いとしては、法定刑の違いになります。
遺失物等横領罪の法定刑は「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料」なのに対し、窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」とかなり重くなっています。
そのため、どちらの罪が成立するかで、受ける刑罰が大きく変わってくるため、いわれなき嫌疑をかけられないように、法律の専門家である弁護士のサポート受けながら取調べ等にも対応していく必要があります。

窃盗罪・遺失物等横領罪に強い弁護士

窃盗・遺失物等横領罪事件でお困りの方、置き引きの容疑で警察の取調べを受けている方は、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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