盗品等に関する罪で逮捕

2021-07-29

盗品等に関する罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
大阪府大阪市天王寺区で古物商を営んでいたAさんは、盗品だと知って買い取ったとして、大阪府天王寺警察署盗品等有償譲受けの疑いで逮捕されました。
Aさんは、買い取った商品が盗品であることを知らなかったと故意を否認しています。
Aさんは、家族の依頼で接見にやってきた刑事事件専門弁護士に、取調べ対応についてのどのように対応すべきか聞いています。
(フィクションです。)

盗品等に関する罪とは

盗品等に関する罪は、窃盗罪のような財産領得罪を前提として、その取得した財産の処分に関する犯罪です。
盗品等に関する罪は、刑法第256条において、次のように規定されています。

1 盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、3年以下の懲役に処する。
2 前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、10年以下の懲役及び50万円以下の罰金に処する。

■客体■

本罪の客体は、「盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物」です。
これは、窃盗などの罪の被害者が法律上追及し得るものです。

「財産に対する罪」とは、個人の財産を保護法益とする犯罪のことをいいます。
そのため、財産犯ではない、例えば墳墓発掘罪や漁業法違反などにより得た物は本罪の客体とはなりません。
また、「財産に対する罪に当たる行為」とあるため、犯罪として成立していることまで必要とされず、構成要件に該当する違法な行為であればたりるとされています。
そのため、無責任能力者の行為であってもよく、親族相盗例により刑を免除される場合であっても、被害者の追求権が存在している以上は本罪の客体となります。

財産罪によって「領得された物」というためには、本犯が財物の領得について既遂に達していなければなりません。
それは、領得がなければ財産罪の被害者の追求権が生じないからです。
本罪の客体は、財産罪によって領得された「物」ですので、財物でなければならず、権利や財産上の利益は含まれません。
そして、「領得された」というのは、財産罪によって直接領得されたことを意味します。
つまり、本犯の客体と本罪の客体とは同一でなければならず、複製品は対象となりません。
よって、会社の機密情報を持ち出し、それをコピーし、原本は返却して、コピーを第三者に売却したとしても、コピーの売却行為については、機密情報のコピーが「財産罪によって直接領得された」とは言えないため、本罪は成立しません。

先にも述べましたが、本罪の客体は、本犯の被害者が法律上追及できる(返還を請求することができる)ものに限定されます。
この本犯の被害者が有する追求権が、本罪の保護法益となります。

■行為■

盗品等に関する罪の行為類型としては、無償譲受け、運搬、保管、有償譲受け、有償処分あっせん、とがあります。

①無償譲受け
無償で盗品等の交付を受け、それを自己の物として取得することを「無償譲受け」といいます。

②運搬
運搬とは、委託を受けて盗品等を場所的に移転させることをいいます。
運搬については、無償・有償、移転の距離の遠近を問いません。

③保管
保管とは、委託を受けて盗品等の保管をすることをいい、有償・無償を問いません。
本罪の成立には、単なる保管の約束だけでは足りず、盗品等を現実に受け取ることが必要となります。

④有償譲受け
有償で盗品等の交付を受け、その処分権を取得することを「有償譲受け」といいます。
本罪の成立には、単に契約が成立したことだけでは足りず、実際に盗品等の引渡しが必要となります。

⑤有償処分のあっせん
有償処分のあっせんとは、盗品等の売買、質入れなどの処分を仲介・周旋することをいいます。
あっせん行為自体は、無償・有償を問いません。

■故意■

本罪は故意犯ですので、客体が盗品等であることの認識が必要となります。
この認識は未必的なものでも構いません。
何らかの財産罪にあたる行為によって領得された物であることの認識があればよく、前提となる犯罪(財産罪)がどの犯罪なのか、被害者が誰で犯人が誰であるかを特定することまで必要とされません。
無償譲受け、有償譲受け、有償処分のあっせんについては、譲受け、あっせん行為の時点で盗品性の認識がなければなりません。

盗品等に関する罪の成立においては、この故意の有無について問題となることが多く、被疑者も、「盗品とは知らなかった。」と述べ、故意を否認することが少なくありません。
その場合には、取調べで故意を認めるような内容の供述調書がとられないようにする必要があります。
そのためにも、早期に刑事事件に精通した弁護士に相談・依頼し、適切な取調べ対応についてのアドバイスをもらうことが重要です。

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