【事例紹介】京都府・大阪府の空き巣事件で逮捕&追送検
【事例紹介】京都府・大阪府の空き巣事件で逮捕&追送検
事例
京都府や大阪府などで空き巣を繰り返していたとして、京都府警舞鶴署などは12日、住居侵入と窃盗の疑いで、大阪府摂津市、元海上自衛官の被告(26)=窃盗罪などで起訴=ら21~28歳の男女6人を逮捕、追送検し、計8件(約300万円)の被害を裏付けたと発表した。
逮捕、追送検容疑は、昨年9月から今年1月まで京都、大阪、兵庫、東京の4都府県で知人宅などに侵入し、腕時計やバッグ、ゲーム機、現金67万円などを盗んだ疑い。(後略)
(9月12日 京都新聞 「元自衛官ら20代男女6人、京都や大阪などで空き巣繰り返す 容疑で逮捕・追送検」より引用)
空き巣
空き巣とは、住人の不在時を狙って人が住む家に侵入し、現金などを盗み取る行為をいいます。
今回の事例では、自衛官らが空き巣により、住居侵入罪、窃盗罪の容疑で逮捕されています。
なぜ空き巣をすると住居侵入罪、窃盗罪の容疑で逮捕、捜査されるのでしょうか。
今回のコラムでは住居侵入罪、窃盗罪について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
住居侵入罪
まず初めに住居侵入罪について簡単に解説していきます。
住居に正当な理由がなく侵入した場合は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金が科されます。(刑法第130条)
刑法第130条が規定する住居とは、人が日常生活を行う場所のことを指します。
一時的な使用であっても、日常生活を行っている場所であれば住居にあたるので、ホテルの部屋なども住居になります。
空き巣犯は現金などを盗むために、人が住む家に侵入します。
人が住む家なので、当然その家では日常生活が行われていることになります。
日常生活が行われている場所は住居にあたりますので、空き巣を行った場合は住居侵入罪が適用されます。
では、空き巣犯が空き家を住居だと誤信して侵入した場合は住居侵入罪にあたるのでしょうか。
実は、空き家や現在使用していない別荘などは刑法第130条の「邸宅」にあたります。
ですので、空き巣犯が住居だと誤信して空き家に侵入場合は、住居侵入罪ではなく邸宅侵入罪が成立します。
住居侵入罪、邸宅侵入罪どちらであっても、有罪になった場合は刑法第130条が適用されます。
今回の事例では、知人の家に侵入しています。
人が住む家は住居にあたりますので、今回の事例の容疑者は住居侵入罪の容疑で逮捕されています。
窃盗罪
次に窃盗罪について簡単に解説していきます。
他人の意思に反して他人が所有している財物を盗った場合は、窃盗罪が成立します。
刑法第235条の「財物」は、現金や貴金属、服飾品などをいいます。
また、窃盗罪で有罪になった場合には10年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されることになります。(刑法第235条)
空き巣は住人がいない間に家に侵入し、現金などの財物を盗み出します。
当然、財物を盗み出す行為に対して、その財物の所有者から承諾を得ていないでしょうから、空き巣犯が財物を盗み出す行為は相手の意思に反していることになります。
窃盗罪は、他人の意思に反して財物を盗んだ場合に適用されますので、空き巣を行った場合には窃盗罪が適用されることになります。
今回の事例では現金やバッグなどの服飾品、ゲーム機などを盗んでいます。
現金やバッグ、時計はもちろんのこと、ゲーム機も財物に含まれます。
今回の事例の容疑者は空き巣により財物を盗み取っていますので、窃盗罪が適用されています。
空き巣事件の裁判例
住居侵入罪や窃盗罪には懲役刑が設けられていますが、空き巣を行って懲役刑が科されることはあるのでしょうか。
実際に空き巣で裁判になった例をご紹介します。
(ご紹介している事例とこれからご紹介する裁判例は、事件内容や被害総額は異なります。)
その裁判の被告人は、4カ所のマンションで空き巣を繰り返し、現金約19万円や貴金属60点(時価930万円)などを盗みました。
裁判の結果、被告人に懲役2年4月が言い渡されました。
(2014年9月27日 神奈川新聞 「マンション集合ポストから鍵盗み空き巣 女に実刑判決」より)
空き巣事件を起こした件数や被害金額、前科前歴の有無などによって異なりますが、空き巣のような侵入等事件では、その悪質性を考慮され、単なる窃盗事件(万引き事件など)と比較して起訴され刑事裁判となる可能性が高いと考えられます。
ご紹介した裁判例のように、実刑判決が下る可能性も十分考えられます。
だからこそ、早い段階から弁護士のフォローを受けて、執行猶予の獲得や刑罰の減軽を求める活動をすべきといえます。
空き巣や住居侵入罪、窃盗罪でお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。