【事例紹介】コンビニで置き忘れの財布を盗んだとして男が逮捕
コンビニで客が置き忘れた財布を盗んだ疑いで、男が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
去年12月、北海道岩内町のコンビニエンスストアで、客が置き忘れた財布を盗んだとして、札幌の26歳の男が逮捕されました。
窃盗の疑いで逮捕されたのは、札幌市北区に住む26歳の外装工の男です。
男は去年12月24日、北海道岩内町のコンビニエンスストアで、60歳の男性客の財布1つ(時価合計1万円)を盗んだ疑いが持たれています。
警察によりますと、男性は当時、店内に財布を置き忘れて被害に遭い、財布には現金およそ10万円が入っていたということです。
男性の被害に気付いた店の従業員が警察に通報し、警察は事件の発生からおよそ8か月後の22日、男を逮捕しました。
警察によりますと、男は仕事で岩内町を訪れて、コンビニエンスストアに立ち寄っていたということです。
調べに対して、男は「同僚のものだと思って、持って行った」などと話し、容疑を否認しているということです。
警察は、事件の詳しい経緯や余罪について調べを進めています。
(8月23日Yahoo!ニュース掲載のHBC北海道放送の記事を引用しています。)
他人が置き忘れた物を持ち去ったら
今回の事件では、コンビニエンスストアで客が置き忘れていた財布を盗んだとして窃盗の疑いで男が逮捕されています。
窃盗罪は、「他人の財物を窃取した」場合に成立します(刑法235条)。
「窃取」とは他人が占有する財物を占有者の意思に反して自己又は第三者の占有に移転させることをいいます。
そうすると、「窃取」の目的物となる「他人の財物」とは、他人の占有が及んでいる財物である必要があります。
今回の事件では、男は窃盗罪の疑いで逮捕されているため男が財布を持ち去った時点においては、まだ財布に対して客の占有が及んでいたとみられていることがわかります。
では、財布に被害者である客の占有が及んでいなかった場合は何罪が成立するのでしょうか。
この場合には「窃盗罪」ではなく「遺失物横領罪」が成立します。
窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役刑又は50万円以下の罰金」であるのに対し、遺失物横領罪の法定刑は、「1年以下の懲役刑又は10万円以下の罰金若しくは科料」と軽くなっています。
そのため、最終的に窃盗罪が成立するのか遺失物横領罪が成立するのかで受ける刑罰が大きく変わってきます。
そして、財物に対して占有が及んでいたか否かは一般の方では判断するのが大変難しく、弁護士に相談することが不可欠でしょう。
窃盗罪で警察の捜査を受けられている方は
窃盗罪、遺失物横領罪で警察の捜査を受けられてお困りの方は、弁護士に相談されることをお勧めします。
盗んだ物に占有が及んでいるのかで、成立する犯罪が異なりますので、専門家である弁護士に相談することで、自身の行為がどのような罪に当たる可能性があるのかといったことについてアドバイスを受けることができるでしょう。