【事例解説】キャンインベーダーを用いた自動車の窃盗事件
キャンインベーダーを用いた自動車の窃盗(自動車盗)事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例紹介
Aさんは、盗んだ自動車を解体して、パーツを売却することでお金を得ていました。
Aさんが、ターゲットにする自動車を探すために近所の住宅街を散策していたところ、ある一軒家の駐車場に停められている高級車に目を付けました。
Aさんは、深夜、キャンインベーダーと呼ばれる手口で高級車を盗み出しました。
朝になって、車を盗まれたことに気が付いたVさんが警察に窃盗罪の被害届を提出したことで、警察が窃盗罪の捜査を開始することになりました。
周囲の防犯カメラを調べたところ、Aさんが車を盗み出している様子が撮影されていたことから、Aさんは窃盗罪の疑いで逮捕されました。
(この事例はフィクションです)
自動車盗の手口のひとつであるキャンインベーダーとは
事例のAさんはキャンインベーダーと呼ばれる手口でVさんの自動車を盗み出していますが、キャンインベーダーのキャンとは、Controller Area Networkの略称である「CAN」を意味しています。
このCANは、自動車の機能を制御しているネットワークシステムのことで、最近の自動車(特に高級車)ではCANが使用されていることが多いようです。
キャンインベーダーとは、このCANに特殊な器機を用いて侵入することでドアの施錠を解き、エンジンを始動させてそのまま自動車を盗み出す手口のことです。キャンインベーダーによる自動車盗の場合、車を傷つけることなく、犯行からわずか数分で車を盗み出すことができるようで、近年多発している自動車盗の手口になります。
このようにキャンインベーダーと呼ばれる手口で自動車を盗み出した場合、刑法235条に規定する窃盗罪に該当する可能性が高く、仮に窃盗罪で起訴されて有罪となると10年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される場合があります。
自動車盗の被害者の方と示談をしたいとお考えの方は
自動車を盗まれた被害者の方からすると、盗まれた車がそもそも高価なものであることに加えて、移動の足を失ったことで日常生活が不便になったなどの事情も相まって、自動車盗の犯人を許さないという気持ちが高い可能性が考えられます。
このように処罰感情が強い自動車盗の被害者の方と示談したいとお考えの方は、示談交渉の経験が豊富な弁護士に依頼されることをお勧めします。