【事例解説】自転車を盗んで逮捕(後編)
自転車を盗んで逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事例】
愛知県内に住む大学生のAさんは、大学に通学する際、路上に放置されている自転車を発見し、これを盗んで自己の通学に利用していました。
そうしたところ、その自転車は、実はBさんの所有物で、単に自宅前の路上に置いておいただけでした。
後日、Bさんは自転車がないことに気付き、警察に被害届を出しました。
そのさらに後日の夜、友人たちと自転車で出かけていたAさんは警察による職務質問を受け、その際に自己所有の自転車ではないことが発覚し、Aさんは逮捕されることになりました。
(フィクションです)
【今回の事例では】
今回の事例では、Bさんの主観面での財物を支配する意思は認められるため、客観面について、路上に置いてある自転車を事実上支配していたか否かが争点となります。
事実上の支配についての認定は、様々な事情を総合的に考慮して判断されるため、必ず認定、ないしは否定されると明言することは難しいといえます。
この点について、自宅前の路上に置いてある自転車について、その所有者の占有を肯定した事例があります(参考事例:https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=23765)。そのため、今回の事例では、Aさんは窃盗罪に問われる可能性が高いといえるでしょう。
【窃盗事件を起こしてしまったら】
もしも窃盗事件を起こしてしまい、前科を回避したいと考えた場合、被害者との間で示談交渉を進めることが最も重要になります。
そのため被害者との間で、被害弁償及び示談交渉を行い、可能であれば宥恕条項付きの示談締結を目指します。早期に被害者との示談を成立することができれば、検察官による不起訴処分を受ける可能性を高めうるといえます。
また、起訴され正式裁判となった場合であっても、被害者の方との示談が成立した場合はその事実を裁判所に主張し、これに加えて、被害弁償が済んでいること等を主張して、罰金刑や執行猶予判決の獲得を目指します。
刑事処分の軽減のためには、迅速かつ適切な弁護活動が不可欠ですので、お困りの場合は速やかに刑事事件に強い弁護士にご相談ください。