【事例解説】会社従業員が自社の商品を盗んだ事例

2024-08-16

会社従業員が自社の商品を盗んだ事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

会社

【事例】

愛知県内に住む会社員のAさんは、所属する会社の名古屋支店の支店長を任されていました
そうしたところ、Aさんは、名古屋支店において、商品発注や会社財産の管理などを任されているなど、会社財産に関して自身の裁量が大きいことを利用して、自社商品を度々盗み、それを転売していました。
その後、会社側が異変に気付き、Aさんを問い詰めたところ、上記事実が発覚しました。
会社から、場合によって刑事告訴も考えると伝えられたため、Aさんは弁護士に今後の対応を相談することにしました。
(フィクションです)

 

【今回の事例で問われうる犯罪】

今回の事例において、窃盗罪業務上横領罪のいずれに問われるかは重要な点でしょう。

まず、窃盗罪とは、刑法235条(出典/e-GOV法令検索)により「他人の財物を窃取」する罪であると定められており、その法定刑として「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金刑」が定められています。

次に、業務上横領罪とは刑法253条(出典/e-GOV法令検索)により「業務上自己の占有する他人の物を横領」する罪であると定められており、その法定刑として「10年以下の懲役」が定められています。

この両罪を分けるのは、盗んだ物が会社と個人のいずれの占有に帰属するか(会社と個人のいずれが事実上支配しているか)という点です。
すなわち、今回の事例のおいては、会社に商品の占有が認められる場合は窃盗罪が成立し、Aさんに商品の占有が認められる場合は業務上横領罪が成立することになります。

では、会社とAさんのいずれに商品の占有が帰属することになるでしょうか。
この点につき、まず、商品を保管する者が複数いて、かつその者の間に上下・主従関係がある場合には、原則として、占有は上位者に帰属することになるといえます。
もっとも、上位者との間に高度の信頼関係があり、財物についてある程度の処分権が委ねられている場合には、例外的に下位者にも占有が認められるといえるでしょう。

これを今回の事例に当てはめると、会社とAさんの間には雇用関係という主従関係が存在するため、一次的には会社に商品の占有が認められることになりそうです。
しかし、Aさんは「名古屋支店の支店長」を任され、「支店における商品発注や会社財産の管理」を任されていることから、会社との間の高度の信頼関係、財物についてのある程度の処分権の委任があると評価できます。

それゆえに、今回の事例では、Aさんは、業務上横領罪に問われる可能性が高いといえるでしょう。

【窃盗等の事件を起こしてしまったら】

もしも窃盗等の事件を起こしてしまい、前科を回避したいと考えた場合、被害者との間で示談交渉を進めることが最も重要になります。
そのため被害者との間で、被害弁償及び示談交渉を行い、可能であれば宥恕条項付きの示談締結を目指します。早期に被害者との示談を成立することができれば、検察官による不起訴処分を受ける可能性を高めうるといえます。
また、起訴され正式裁判となった場合であっても被害者の方との示談が成立した場合はその事実を裁判所に主張し、これに加えて、被害弁償が済んでいること等を主張して、罰金刑や執行猶予判決の獲得を目指します
刑事処分の軽減のためには、迅速かつ適切な弁護活動が不可欠ですので、お困りの場合は速やかに刑事事件に強い弁護士にご相談ください

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