【事例解説】看護師が財布から現金を抜き取ったと疑われている窃盗事件

2024-11-03

財布から現金を抜き取ったと疑われている窃盗事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

 

事例紹介

Aさんは看護師として病院で勤務してました。
ある日入院していた80代のVさんから私の財布からお金を抜いたでしょと疑われました。
ある日、看護師長から呼び出しを受けたAさんは、AさんがVさんの財布から現金数万円を盗んでいるのではないかとVさんの家族からクレームの連絡が入ったという話をされました
Aさんとしては全く身に覚えのない話でしたが、Vさんが「財布から現金をAさんに盗まれた」と家族に話しており、Vさんの家族はVさんの話を信じて、警察に窃盗罪で被害届を提出しました。
Aさんは、窃盗罪の濡れ衣を着せられてしまうのではないかと不安になり、今後の対応について弁護士に相談することにしました。
(この事例はフィクションです)

看護師に窃盗罪の前科が付くとどうなる?

他人の家で保管されている財布から現金を盗み出す行為は刑法235条(出典/e-gov法令検索)の窃盗罪に該当すると考えられます。
窃盗罪の法定刑は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金刑となっていますが、国家資格である看護師の資格を持つ者が窃盗罪で前科がついてしまうと、相対的欠格事由となり、処分を受ける可能性があります。
看護師免許等について定める保健師看護師助産師法の第9条1号は、「罰金以上の刑に処せられた者」について、免許を与えないことがあることを定めており、また、同法第14条1項3号では、「罰金以上の刑に処せられた者」について、厚生労働大臣が看護師免許の取消しをすることができる旨を定めています。
これは「することができる」と定められていることから、罰金以上の前科が付いた場合でも、看護師免許の取消しがなされない可能性もあります
しかし、看護師免許を失う可能性も否定できないため、できる限りの予防策を講ずるべきであるといえます。

やってもいない窃盗罪の疑いをかけられているという方は

やってもいない窃盗罪の疑いをかけられているという場合、自分は絶対に窃盗をしていないのだから大したことにはならないと安易に判断するのではなく、まずは弁護士に相談されることをお勧めします。
事例のように既に窃盗罪で被害届が提出されているという状況になると、今後、警察が窃盗罪の捜査に乗り出して事情聴取のために警察への呼び出しを受けたり、場合によっては突然、警察が自宅に来て窃盗罪の疑いで逮捕される可能性もあり得ます
そのため、弁護士に相談して、今後どのような流れで窃盗事件が進んでいくことになるのか、警察が窃盗事件についは話を聞きたいと連絡があった場合はどうすればよいのかといったことについてアドバイスを貰っておくことが大事になります。

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