不起訴にしてほしい
1 不起訴とは
不起訴とは、検察官が行う終局処分の一つであって、警察から送致された窃盗事件について刑事裁判を行わず、終了させる処分のことをいいます。
窃盗事件の不起訴といっても処分の内容は様々です。
窃盗事件の不起訴の内容として考えられるのは、嫌疑なし不起訴、嫌疑不十分不起訴、起訴猶予です。
嫌疑なし不起訴という処分がされるのは次のような場合です。
窃盗事件について集められた証拠によると、容疑者とされる者が事件の犯人でないことが明白である場合、または、窃盗罪が成立しないことが明白である場合です。
嫌疑不十分不起訴という処分がされるのは、容疑者が事件の犯人であること、窃盗罪が成立することを裁判で立証するだけの証拠が不十分な場合です。
起訴猶予とは、警察・検察が収集した窃盗事件の証拠によると、容疑者とされる者が事件の犯人であること、窃盗罪の成立のいずれについても裁判で立証し有罪にすることができるが、容疑者を取り巻く様々な事情を考慮した結果、検察が起訴しないことを決定するものです。
2 不起訴になるために
上記のように、窃盗事件の不起訴といってもそれぞれ内容が違うことがわかります。
嫌疑がない場合、嫌疑が不十分な場合は、裁判上、犯人の認定・窃盗の成立を証明できません。
検察が不起訴という処分を選択することは当然といえます。
注目すべきなのは起訴猶予の場合です。
起訴猶予は裁判を行えば犯人を有罪にできるにも関わらず裁判をしないという処分を選択しています。
これは、検察官が起訴不起訴の判断において、裁判上窃盗罪で有罪にできるかという点のみならずその他の事情をも考慮し判断していることを意味します。
窃盗事件において考慮されている事情として、犯人の境遇、年齢、窃盗事件の被害の大きさ、被害弁償の有無、反省の有無等です。
不起訴のなるためには、このような事情を起訴の判断を行う検察官に、上手に伝えることが肝心です。
3 窃盗事件と不起訴の統計
令和4年版犯罪白書によると、令和3年における窃盗事件の起訴総数(公判請求と略式起訴の合計)は約2万9000件です。
起訴率は、約40パーセントです。
一方で、窃盗事件の不起訴総数は約3万8000件、うち起訴猶予は約2万9000件です。
不起訴率は、約50パーセントです。
年齢別に70歳以上の者の不起訴割合は、男性で63.9パーセント、女性で66.3パーセントと高くなっています。
犯人の年齢については、高齢であるほど不起訴に有利な事情として検察が考えているということがわかります。
不起訴になるには、どのような事情が検察の不起訴の判断に有利に働くかを見極め、それを適切に主張していく必要があるのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件において豊富な経験を有しています。
万が一、あなたの身の回りで窃盗事件が起き、起訴されるかもしれないという状況におかれたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。