【事例解説】バイク窃盗事件における示談の重要性(中編)
前回に引き続き、バイクを窃取した疑いで逮捕されてしまった場合において、被害者と示談を成立させることの重要性につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例
Aさんは、Vさんが駐輪していたバイクを窃取し、乗り回していたところを警察官に呼び止められ、職務質問を受けました。
バイクがAさんのものではないことが判明したため、Aさんは警察署に任意同行されて取調べを受けることとなりました。
AさんがVさんのバイクを窃取したことを認めたため、Aさんはのちに窃盗の疑いで逮捕されてしまいました。
(事例はフィクションです。)
今後の捜査について
逮捕されてしまった場合は、警察署に引致され、取調べを受けることになります。
留置の必要があると認められるときは、逮捕時から48時間以内にAさんの身柄が検察に送致されます。
送致を受けた検察官においても取調べがなされます。
検察官は、身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内にAさんの勾留を請求するか、釈放するか、あるいは起訴するかを決定します。
勾留請求後について
勾留請求に対し、勾留の可否を決定するのは裁判官です。
勾留決定が出されると、10日間勾留されます。
やむを得ない事由があると認められるときは、最長10日間、勾留延長がなされます。
起訴、不起訴の別の判断
検察官は勾留の満期日までにAさんを起訴するか、あるいは不起訴にするか、または処分を保留して釈放するかを決めます。
起訴されてしまった場合には、極めて高い確率で有罪判決を受け、前科がついてしまうことになります。
前科がついた場合の不利益として
・取得を目指していた資格が取得できなくなること
・目指していた職業に就けなくなること
(前科があると就職できなくなる可能性のある職業は多数あります)
・就職、転職の際、不利に考慮される可能性が極めて高いこと
などが挙げられます。
各人の生活スタイルによって前科が及ぼす悪影響はさまざまですが、いずれにしても前科があって得をすることは通常考えられません。
そのため、事例の場合は前科がつかないようにする弁護活動が重要といえます。
特に、Aさんが盗んだバイクが高価な高級車であれば、懲役刑を言い渡される可能性はもちろん、実刑判決を受けることになる可能性もあります。