銭湯での窃盗で逮捕

2020-04-24

銭湯で現金を持ち去った窃盗事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します。

~ケース~

福岡県柳川市に住むAは,銭湯で朝風呂を使い,上がった時,脱衣場の床に封筒が落ちているのを発見した。
中には現金15万円が入っていた。封筒は濡れていたので付近のごみ箱に捨て,15万円は自分の財布の中に入れた。
その後,パチンコ屋で自分の金で打っていたところ,福岡県柳川警察署の刑事が来て,15万円の件で事情を聞かれ,そのまま逮捕された。
Aは,現金を自分の財布に入れた事実については認めたが,届け出るつもりだったので窃盗ではないと主張した。
(事実を基にしたフィクションです)

~Aの行為は窃盗罪に当たるのか~

刑法235条
他人の財物を窃取した者は,窃盗の罪とし,10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

窃盗罪が成立するためには,人の物を取るという故意とは別に,不法領得の意思が必要とされています。
不法領得の意思とは,権利者を排除して,他人の物を自己の所有物として,経済的用法に従い,利用し,処分する意思のことです。
本件で,Aは,脱衣場の床に落ちていた現金を勝手に持って行っていることから,権利者を排除する意思はあったと言えます。
しかし,Aは,現金は届け出るつもりであって,自分の物にしようというつもりはなかったと弁解していました。もしこの弁解が認められれば,Aには,経済的利益を得る意思がなかったということで,経済的用法に従って利用,処分する意思はなかったことになります。
Aは,パチンコを打つ時に,持ち去った15万円には手を付けておらず,この点では,Aの弁解にも一理はありそうです。
一方で,Aは,何故銭湯の店員に届け出なかったのかと聞かれて,何処に届ければいいかよくわからなかったと述べました。銭湯の番台に届けることは難しいことではなかったと思われますし,もしそうでなくても,すぐに警察に届けるという方法もあったはずです。現金を拾ってから逮捕まで数時間程は経過していましたが,その間,Aはずっとパチンコを打っていて,特に届け出るために何らかの活動をしたという形跡はありませんでした。
また,Aが封筒を捨てたのは,封筒は濡れていたので自分の財布や鞄が濡れたら気落ち悪いと思ったから,と述べましたが,濡れた封筒でも現金の所有者にとって無価値であるとは限らないので,返す気があったのなら,勝手に封筒を捨てたりはしないでしょう。
このような事情から見れば,Aがどれだけ届け出るつもりだったと弁解をしても,やはり本当は自分の物にするつもりがあったのではないかとしか思われないでしょう。
実際に,Aには,自分の物にしようとする気が多少はありました。Aには不法領得の意思があったということで,窃盗罪が成立することになりました。

~弁護活動~

本件では,実際には自分の物にしようとする気がありましたが,他方で,本当は不法領得の意思はないのに,取調べにおいて,罪を認めるよう執拗に迫られたり,有利な事情が聞き入れられないこともあります。また,不法領得の意思というのは法律的な概念ですので,被疑者が法的なことを知らないのをいいことに,巧みに誘導して,不法領得の意思があったかのような供述を引き出そうとしたりすることもあります。
そのような取り調べが続けられた結果,自分の物にするつもりだったという虚偽の自白を取られてしまうこともあります。虚偽の自白をしてしまった場合,その後その自白を覆すことは難しくなりますし,再度否認したとしても,供述の信用性が下がってしまう恐れがあります。
そのため,窃盗罪等の刑事事件で取り調べを受ける際は,できるだけ早く刑事事件に強い弁護士取調べにどう受け答えしていくべきかアドバイスを受けることをお勧めします。
窃盗事件でお困りの方,またはそのご家族は,刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
0120-631-881までお気軽にお電話ください。

Copyright(c) 2018 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 All Rights Reserved.