【事例解説】強盗事件を起こし緊急逮捕(前編)
今回は、刑事手続きとしての「逮捕」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例
Aさんは、大阪市内にあるコンビニエンスストアで刃物をチラつかせて脅迫し、現金15万円を強取して逃走しました。
警察官は直ちにAさんの検索を開始し、犯行時刻から2時間後、犯行場所から60キロメートル離れた場所においてAさんを発見したので、職務質問をしました。
Aさんは自動車に乗っており、今にも逃走しそうな様子でしたが、説得の後、車内検索を行い、車内から現金15万円、及び犯行に使われた刃物等が発見されました。
Aさんは強盗の疑いで緊急逮捕されることになりました。
(事例はフィクションです。)
強盗罪について
刑法236条により、暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処すると規定されています。
強盗罪にはほかの罪のように罰金刑の規定はなく、有罪が確定すれば有期懲役となる非常に重い刑となってしまいます。
逮捕とは
逮捕とは被疑者の身柄を保全する強制の処分です。
逮捕は比較的短期間の身柄拘束ですが、原則として令状が必要です。
逮捕には
・通常逮捕
・緊急逮捕
・現行犯逮捕
の3種類があります。
通常逮捕
通常逮捕とは、逮捕状による逮捕をいいます。
捜査機関が裁判官に通常逮捕状を請求し、その発付を得て、被疑者を逮捕する手続です。
通常逮捕を行うためには、①「逮捕の理由」、②逮捕の必要性が要件となります。
これらを満たさない逮捕は違法となります。
緊急逮捕
死刑または長期3年以上の懲役・禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足りる十分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないとき、その理由を告げて行うことができる逮捕です。
緊急逮捕の要件として、①嫌疑の充分性(通常逮捕におけるものよりも高度の嫌疑が必要です)、②逮捕の緊急性、③犯罪の重大性が認められることが必要です。
事例のAさんになされた逮捕はこの「緊急逮捕」です。
強盗事件を起こし逮捕されてしまった場合は、一刻も早く、弁護士を依頼することをおすすめします。