(事例紹介)犬を盗んだ窃盗事件で有罪判決

2022-10-03

(事例紹介)犬を盗んだ窃盗事件で有罪判決

~事例~

ことし5月、千葉県木更津市の住宅からドーベルマン2頭を盗んだ罪などに問われた動物保護団体のメンバー3人に対し、千葉地方裁判所木更津支部はいずれも執行猶予のついた有罪判決を言い渡しました。
ことし5月、木更津市の住宅からドーベルマン2頭が盗まれた事件では埼玉県にある動物保護団体のメンバーの男女4人が窃盗などの罪に問われ、21日はこのうち(中略)3人に対する判決が千葉地方裁判所木更津支部で言い渡されました。
このなかで谷池厚行裁判官は「被告らはドーベルマンの飼育環境の悪さを指摘しているが、盗んでまで保護したいという動機は独りよがりで許されない。犬を盗み出すために被害者を買い物に連れ出すなど犯行は計画的で悪質だ」と指摘しました。
そのうえで、十分に反省しているなどとして3人に対し、懲役1年、執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。
(後略)
(※2022年9月21日12:10NHK NEWS WEB配信記事より引用)

~動物を盗むと窃盗罪に?~

今回の事例では、飼われている犬を盗んだとして窃盗罪などに問われた刑事裁判が行われ、懲役1年、執行猶予3年有罪判決が下されたと報道されています。
今回の事例のように、犬などの動物を連れ去ったというケースにおいては、窃盗罪に問われることが多いです。

刑法第235条(窃盗罪)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

窃盗罪では、その客体(盗まれる対象)として「他人の財物」をあげています。
犬などの生きている動物が「財物」とされることに違和感がある方もいらっしゃるかもしれませんが、窃盗罪における「財物」とは、不動産以外の有体物=形のある物を指すと解されています。
この「財物」については、ある程度の財産的価値が必要であるとされていますが、その価値としては、単に「何円相当の物である」という価値以外にも、その持ち主の感情的に価値がある(例えば、思い出の品であるなど)という価値でもよいと考えられています。
法律上、ペットなどとして飼育されている動物は「物」として扱われます。
先ほど触れた通り、窃盗罪の「財物」は不動産以外の有体物を指していますし、飼育されている動物には財産的価値もあると考えられますから、その中にはペットなどとして飼育されている動物も含まれます。
そのため、ペットなどの動物を連れ去り盗むことは、窃盗罪となるのです。

今回取り上げた事例では、飼育されていたドーベルマン2匹を保護の名目で盗んだ窃盗罪などの容疑で刑事裁判となり、有罪判決が下されています。
飼い主の許可を得ずに、犬を連れだす権利もないのに犬を連れ去ってしまえば、窃盗罪となってしまいます。

窃盗事件では、窃盗の被害を受けた被害者が存在します。
起訴前に不起訴を目指す場合でも、起訴された後に執行猶予を獲得したい・刑罰を減軽したいという場合でも、被害者への謝罪が出来ているかどうか、被害弁償ができているかどうかということは重要な事情の1つとなります。
いわゆる示談ができているのかどうかによって、被害回復の程度や被害感情のおさまりの程度が判断されることになります。

しかし、ペットとして飼っている動物を家族のように大切にされている方もいることから、動物を盗んだ窃盗事件では単なる物を盗んだ窃盗事件よりも被害感情が苛烈になることが予想されます。
当事者同士での話合いでは、余計に溝が深まってしまうリスクも考えられますし、そもそも直接のやり取りを拒否されてしまうということも考えられます。
こうした場合に、第三者かつ専門家である弁護士を介入させて話し合いを行うことで、お互いにとって適切に、スムーズに話し合いを行うことが期待できます。

窃盗事件と一口に言っても、その態様や被害品まで、その種類は多種多様です。
細かな事情1つで見通しや適切な対応が変わり得る刑事事件だからこそ、早い段階から弁護士に相談・依頼し、適切な対応ができるようにしておくことをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、窃盗事件を含めた刑事事件全般を取扱っています。
まずは0120-631-881までお問い合わせください。

Copyright(c) 2018 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 All Rights Reserved.