コンビニを渡り歩いて常習累犯窃盗罪

2019-11-06

コンビニを渡り歩いて常習累犯窃盗罪

コンビニを渡り歩いての常習累犯窃盗罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

住所不定・無職のAさんはお金に困っており、コンビニの面接を受け採用されるや、コンビニの売上金を盗んで逃走するという生活を繰り返し、16都府県、29店舗のコンビニ店から合計1000万円以上の売り上げ金を盗みました。
そして、Aさんはこれまでと同じように、今度は神奈川県川崎市内のコンビニに面接に行ったところ、「犯人とよく似た人物が面接に来ている」との通報を受けた神奈川県中原警察署の警察官により職務質問にあい、その後常習累犯窃盗罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

~ 常習累犯窃盗罪とは ~

常習累犯窃盗罪は窃盗罪を繰り返し、さらに窃盗既遂罪あるいは窃盗未遂罪を犯した場合に問われ得る犯罪です。
盗犯等ノ防止及処分二関スル法律(以下、法律)」の3条に規定されています。

~ 常習累犯窃盗罪の要件 ~

法律3条の規定は以下のとおりです(ひらがな部分は実際はカタカナです)。

常習として前条に掲げたる刑法各条の罪又はその未遂の罪を犯したる者にしてその行為前10年内にこれらの罪又はこれらの罪と他の罪との併合罪に付き3回以上6月の懲役以上の刑の執行を受け又はその執行の免除を得たるものに対し刑を科すべきときは前条の例に依る

この規定を分解すると、

1 前条に掲げたる刑法各条の罪(刑法235条(窃盗)、236条(強盗)、238条(事後強盗)、239条(昏睡強盗))の罪又はこれらの未遂の罪を犯したこと
2 1記載の犯罪を常習として犯したこと
3 1記載の犯罪又はそれらの犯罪と他の犯罪との併合罪につき、懲役6月以上の刑の執行を受け又はその執行の免除を得たことがあること
4 3が、行為前の10年以内に3回以上あること

となります。

常習累犯窃盗罪の法定刑は3年以上の有期懲役です。

~ 「常習」とは ~

常習累犯窃盗罪では、常習性の認定がポイントとなります。

この点、上記2の「常習として」とは、反復して特定の行為を行う習癖をいいます。
常習性の有無について、裁判所は、行為者の前科・前歴はもちろん、性格、素行、犯行の動機、手口、態様、回数などを総合的に検討し、機会があれば,抑制力を働かせることなく安易に反復して窃盗を行ってしまう習癖があるといえるかどうかを基準に常習性を認定しているものと思われます。
したがって、「常習性」の認定は前科のみで判断されるわけではありません。
過去の窃盗前科の犯行態様が、ドライバーを使って古いアパートの錠を外して侵入し現金を盗んだ、という人が、本件で、スーパーマーケットの缶詰2個を万引きしたという事案で、裁判所(東京高裁:平成5年11月30日)は、「動機・態様を著しく異にしており、本件が窃盗の習癖の発現としてなされたものであるとは認められない」として常習性を否定しています。

~ 執行猶予の可能性も? ~

常習累犯窃盗罪の法定刑は3年以上の有期懲役ですから、執行猶予付き判決を受けることは極めて厳しいといえます(執行猶予付き判決を受ける要件の一つとして「3年以下の懲役又は禁錮」の言い渡しを受けることが必要です)。
また、事例のように被害額が1000万円を超える場合はなおされら厳しいといっても過言ではないでしょう。

しかし、被害額が少ない事案であっても常習累犯窃盗罪として起訴される場合があり、そうした場合は、執行猶予付き判決を獲得できる可能性も十分残されているといっていいでしょう。
法律上の減軽事由(刑法66条等)に当たる事情がある場合は、法定刑が減軽され、執行猶予付きの判決を獲得できるハードルを低めることはできます。
お困りの方は弁護士までご相談ください。

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