共犯の万引き事件で逮捕
共犯の万引き事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
神奈川県鶴見警察署は、神奈川県横浜市鶴見区のドラッグストアで、薬や化粧品など数人で共謀して万引きしたとして、Aさんら3人を窃盗の容疑で逮捕しました。
Aさんは、他2人と共謀し、ドラッグストアで商品を万引きし、万引きした商品をネットで販売していました。
警察署は、他にも余罪があるとみて捜査をしています。
(フィクションです。
共犯の万引き
万引きは、単独で行うことが多いのですが、複数人で協力して行うケースもあります。
複数人で行う場合、商品を盗む者、周囲を監視する者と役割を分担して万引きを遂行します。
その場合、実際に商品を盗んだ者だけが窃盗の罪跡を負うではなく、犯行時に監視役であった者も窃盗の罪に問われることになります。
2人以上の行為者が、意思の連絡に基づき、共同して犯罪を実現する場合を「共犯」といいます。
この共犯は、法律上、2人以上の者が共同して犯罪を実現することを予定しているものと、法律上は単独犯を予定しているが、これを2人以上の者が共同して実現するものとがあります。
後者には、2人以上の者が、共同して犯罪を実行する「共同正犯」と、他人をそそのかして犯罪実行の決意を生じさせ、その決意に基づいて犯罪を実行させる「教唆犯」、そして、実行行為以外の行為で実行行為者の実行行為を容易にさせて犯罪を実現する「幇助犯」の3種類に分類されます。
この3種類のうち、共同正犯はについては、全ての者が正犯として処罰されます。
共同正犯が成立するには、①共同実行の意思、と、②共同実行の事実が必要となります。
①共同実行の意思とは、2人以上の者が、共同してある特定の犯罪を行おうとする意思をいい、共同正犯の成立には、この意思の連絡が必要となります。
②共同実行の事実とは、共同実行の意思の連絡に基づき、共謀者の全部または一部が犯罪の実行行為を行ったことをいいます。
しかし、②共同実行の事実を欠く場合でも、共同実行の事実がある場合と実体的に共同実行したのと変わりない関与をした場合には、共同正犯とされます。
つまり、(a)犯行実現への強い動機、関心、利害があり、(b)これに基づき、犯行を実現するのに重要な役割を果たしたときには、共同実行の事実と変わらない関与をしたものとして、共同正犯とされるのです。
これを「共謀共同正犯」といいます。
例えば、Aさんが見張り役をしており、実際に商品を万引きしたのは他の2人だったとします。
Aさん自身は窃盗の行為を行っていませんが、仲間間で万引きすることの共謀があり、万引きした商品を転売して得た利益を3人で分けていたり、見張り行為が万引きを成功させる上で欠かせないものである場合には、共謀共同正犯の成立が認められるでしょう。
共犯の万引きで逮捕されたら
単独の万引きであれば、逮捕された後に釈放となる可能性はあります。
しかし、共犯事件であれば、共犯者との接触を危惧し、罪証隠滅のおそれがあると認められる可能性が高く、逮捕後に勾留が付くことが多いと言えます。
複数の余罪がある場合には、1件目の事件についての勾留期間が満了したとしても、他の事件について逮捕・勾留となり、引き続き被疑者の身柄が拘束される可能性もあります。
そのため、事例のように共犯の万引き事件で、かつ、他にも同種の事件を複数行っているのであれば、捜査段階での身体拘束は長期化することが見込まれます。
ただ、起訴後であれば、保釈により釈放される可能性はありますので、余罪についての起訴の有無を確認した上で、タイミングを見計らい保釈を請求し、認められれば釈放されることになります。
万引き事件であっても、共犯事件であり、被害金額も高額となる場合には、公判請求される可能性があります。
犯行態様が悪質であり、被害額が大きいケースでは、実刑の可能性も否定できませんが、被害者への被害弁償や再犯防止措置を講じている等、被告人に有利な事情を考慮してもらえれば、執行猶予となる場合もあります。
ですので、早い段階から被害者への被害弁償、示談交渉を行うことが重要です。
ご家族が共犯の万引き事件を起こし逮捕されて対応にお困りの場合には、すぐに弁護士に相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件をはじめとした刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件を起こし対応にお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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