間違って持ち帰った他人の財布のお金を使い逮捕

2019-04-30

間違って持ち帰った他人の財布のお金を使い逮捕

Aさんは、ある日、仕事帰りに京都市左京区にあるスナックに寄りました。
仕事のストレスもあり飲みすぎたAさんは、ふらふらになりながら家に帰ろうとしましたが、間違って色形が似ていた他のお客Vさんのコートを着て帰ってしまいました。
翌朝そのことに気付いたAさんがしまったと思いつつ、ポケットを調べると財布がありました。
「はじめて行ったスナックだから、自分はどこの誰だか知られていない。このままもらってしまえ」と魔が差したAさんは、財布の中の現金を使った上、クレジットカードも使って買い物してしまいました。
その後、Vさんが出した被害届をもとに捜査をしていた京都府下鴨警察署は、Aさんがクレジットカードを使った店の防犯カメラを分析するなどし、Aさんを割り出すことに成功し、Aさんは京都府下鴨警察署逮捕されました。
(フィクションです。)

Aさんは、誤って持って帰ったVさんのコートから出てきた財布の中身を使ってしまったことから逮捕されてしまったようです。
それでは、Aさんにはどういった犯罪が成立するのでしょうか。

~窃盗罪は成立する?~

他人の物を持ち帰ったのだから、まずは窃盗罪が成立するのではないかと気になるかもしれません。
結論から言うと、AさんがVさんのコートを持ち帰ったこと自体については、窃盗罪は成立しないと考えられます。

刑法38条1項には、「罪を犯す意思がない行為は、罰しない。ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。」と規定されています。
つまり、故意に(わざと)犯罪をした場合に罰するのが原則であり、特別の規定があれば過失(間違ってやった)場合にも罰するということになります。

本件では、AさんはわざとVさんのコートを持ち帰ったわけではなく、過失で他人の物を持ち帰ったにすぎません。
過失窃盗罪という規定はないため、窃盗罪は成立しないと考えられるのです。

~占有離脱物横領罪が成立する?~

上記の考え方により窃盗罪は成立しないとしても、Aさんはコートや財布を返さずに現金やクレジットカードを使ってしまいました。
これらの行為には占有離脱物横領罪が成立すると考えられます。
条文を見てみましょう。

刑法254条「遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。」

AさんはVのコートや財布を自宅に持ち帰ってしまっており、これらはVさんの占有下から離れてしまっているので、「占有を離れた他人の物」になります。
また「横領」とは、その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思(不法領得の意思)をもって、物を自己の事実上の支配下に置くことをいいます。
コートや財布を返さずに手元に置き続け、現金やクレジットカードを使用する行為は、本来は所有者であるAさんにしかできないことなので、不法領得の意思をもってこれらの物をVの事実上の支配下に置いている行為であり、「横領」にあたります。
したがって本件では占有離脱物横領罪が成立すると考えられるのです。

~詐欺罪も成立する?~

さらにAさんがクレジットカードを使って買い物をした行為は、お店に対する詐欺罪が成立する可能性が出てきます。

刑法246条1項「人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。」

クレジットカードは規約上、本人しか利用できないものなので、他人のクレジットカードを自分のものであると装って使ったAさんの行為は、店員さんという「人を欺いて」、商品という「財物を交付させた」ことになります。
したがって詐欺罪が成立すると考えられるのです。

~弁護士に相談を~

Aさんとしてはほんの出来心だったかもしれません。
しかし窃盗罪こそ成立しないとしても、占有離脱物横領罪の他、詐欺罪という重い罪まで成立し、結果として逮捕されてしまいました。

しっかり反省しなければなりませんが、同じ有罪になるにしても、勾留され身柄拘束が続くのか、保釈が認められるのか、執行猶予が付くのか、といったところは、仕事や家族との関係などに大きく影響してくるので気になるところでしょう。
また、取調べにどう応じたらよいかといった点もわからないことが多く不安でしょう。

こうした状況に陥ってしまい、再スタートに向けてベストを尽くしたいとお悩みの際には、刑事事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にぜひご相談ください。
逮捕された方向けの初回接見サービスをご用意してお待ちしております。
京都府下鴨警察署までの初回接見費用:35,000円)

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