【事例解説】身に覚えのない連続侵入盗事件の取調べ(後編)
今回は、身に覚えのない連続侵入盗事件の取調べに対する対処方法について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例
Aさんは深夜、愛知県内の民家に侵入し金品を物色していたところを家人に発見され、駆け付けた警察官により住居侵入・窃盗未遂の疑いで逮捕されてしまいました。
近頃、Aさんが侵入した民家の近辺では侵入盗事件が相次いでおり、警察はAさんが犯人ではないかと考えているようです。
もっとも、Aさんが事件を起こしたのは冒頭の件のみで、連続侵入盗事件とは関係がありません。
しかし、取調官はAさんの弁解を信用してくれず、次第に取調べの態様も高圧的になりつつあります。
(事例はフィクションです。)
Aさんは取調べに対してどう対応するべきか
黙秘権の行使
やっていない事件については、そのまま「やっていない」と供述すればよいです。
もし取調官がAさんの供述を聞いてくれない場合は、黙秘権を行使することが考えられます。
署名押印拒否権
前述のように、供述したことが供述調書に記載されなかったり、供述していない事柄が供述調書に記載されている場合はどうすべきでしょうか。
被疑者に認められた権利として、「増減変更申立権」、「署名押印拒否権」があります。
供述調書に供述したことと異なる事柄が記載されていたり、供述していない事柄が記載されている場合には、取調官に対し、修正を申し立てることができます。
(刑事訴訟法第198条4項)
もし取調官が修正の申立てに応じてくれない場合は、署名・押印を拒否することができます。
(刑事訴訟法第198条5項但書)
もっとも、これらの権利の行使により、取調べがさらに苛烈になる可能性も否定できません。
その場合は弁護士に相談し、取調官や検察官に抗議を行う必要があります。
Aさんは住居侵入・窃盗未遂事件を起こし逮捕されていますが、Aさんと関係のない事件についてまで罪に問われる道理はありません。
冤罪を予防するためにも、なるべく早期に弁護士を依頼するのが良いでしょう。