無人販売所の料金箱から金銭を盗んだ疑いで無職の男が逮捕
無人販売所の料金箱から金銭を盗んだ疑いで無職の男された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事例】
大阪府内に住む無職の40代の男が同県内の無人販売所に設置された料金箱から、約1500円を盗んだ疑いで逮捕されました。
無人販売所では、同様の被害が相次いでおり、設置された監視カメラの映像から事件が発覚しました。
男は警察の調べに対し、男は、容疑を認めているということです。
(フィクションです。)
【今回の事例で問われる犯罪】
今回の事例では、窃盗罪に問われることになるでしょう。
窃盗罪とは、刑法235条により「他人の財物を窃取」する罪であると定められており、その法定刑として「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金刑」が定められています。
窃盗罪が成立するには、以下の3点を満たす必要があります。
①「他人の財物」を
②「窃取した」こと
③窃盗罪の故意及び不法領得の意思を有すること
①「他人の財物」とは、他人が占有する財物のことをいいます。
占有の有無は、占有の事実と占有の意思の両面から社会通念に従って判断されます。
②「窃取」とは、他人の占有する財物を、占有者の意思に反して、その占有を侵害し自己または第三者の占有に移転させることをいいます。
③「窃盗罪の故意及び不法領得の意思を有すること」とは、窃盗行為をする際、窃盗の故意と不法領得の意思という2つの認識・意思を持っていることを意味します。
窃盗の故意とは、他人の財物を窃取することを認識・認容を意味します。
不法領得の意思とは、判例によれば「権利者を排除し他人の物を自己の所有物と同様に、その経済的用法に従いこれを利用し処分する意思」であるとされています。
これらを今回の事例に当てはめると、
①料金箱に入っている金銭は、当然無人販売所のオーナーの管理下にあるため、そのオーナーの物にあたり、「他人の財物」です。(①を充足)
②その金銭を勝手に持ち去るということは、持ち主の意思に反して金銭を自分の物にすることであるため、「窃取」と評価できます。(②を充足)
③男が「代金を無断で持ち去る」という行為を認識しながら行なった場合、窃盗の故意があると判断されます。加えて、持ち主の管理を排除して金銭を自分のものとして使おうという意思があったのであれば「不法領得の意思」があることにもなります。
よって今回の事例では窃盗罪の成立が考えられます。
【窃盗事件を起こしてしまったら】
もしも窃盗事件を起こしてしまい、前科を回避したいと考えた場合、被害者との間で示談交渉を進めることが最も重要になります。
そのため被害者との間で、被害弁償及び示談交渉を行い、可能であれば宥恕条項付きの示談締結を目指します。早期に被害者との示談を成立することができれば、検察官による不起訴処分を受ける可能性を高めうるといえます。
今回の事例では被害額が極めて少額の為、正式裁判になる可能性は低いですが、起訴され正式裁判となった場合であっても、被害者の方との示談が成立した場合はその事実を裁判所に主張し、これに加えて、被害弁償が済んでいること等を主張して、罰金刑や執行猶予判決の獲得を目指します。
刑事処分の軽減のためには、迅速かつ適切な弁護活動が不可欠ですので、お困りの場合は速やかに刑事事件に強い弁護士にご相談ください。