置き引き・ネコババで逮捕

2020-05-04

置き引き・ネコババをして逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

【事例】

東京都武蔵野市のショッピングセンターに行ったVさん。
トイレの個室に入ったとき、財布を棚の上に置きました。
しかしトイレを出るとき、財布を置き忘れてしまいました。
10分後、財布の置忘れに気付いてトイレに戻りましたが、すでに財布はありませんでした。
店内の落とし物センターにも確認しましたが、届けられていませんでした。
Vさんは警視庁武蔵野警察署に被害届を提出。
防犯カメラ映像の確認などの捜査が行われた結果、犯人は偶然Vさんの後にトイレを利用したAさんであることが発覚。
Aさんは逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)

~置引き・ネコババで成立する犯罪~

魔が差したのか、トイレの個室で発見した財布を置引きしてしまったAさん。
誰が持ち去ったのか発覚しないパターンもありますが、防犯カメラの確認によって発覚したり、戻ってきた持ち主と鉢合わせて発覚するなど、リスクは十分高いと言えます。

もしこのような置き引き・ネコババをした場合、窃盗罪または遺失物等横領罪が成立する可能性があります。

刑法235条(窃盗)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第254条(遺失物等横領)
遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

窃盗罪も遺失物等横領罪も、他人の物を持ち去った場合に成立する犯罪です。
しかし、懲役の上限が10倍違うなど、罪の重さが大きく異なるので、どうやって区別するのかが重要となってきます。

これら2つの犯罪の違いは、持ち去った物が他人の占有下にあった場合が窃盗罪、誰の占有下にもなかった場合が遺失物等横領罪ということになります。

たとえば、他人の家や会社、店舗などに忍び込んで物やお金を持ち去った場合には重い窃盗罪が成立します。
家・会社・店舗の中にある物やお金は、たとえ家主・社員・店員などが不在だったとしてもこれらの者が管理しており、占有下にあると言えるからです。

しかし、たとえば道に落ちていた物を持ち去った場合には比較的軽い遺失物横領罪が成立する可能性が高いです。
持ち主がすぐ近くにいる場合などを除き、その物は誰の占有下にもないといえるからです。

どちらも罰せられるべき犯罪ですが、皆さんの感覚としても、窃盗罪の方がより悪質だと感じると思います。
その感覚の通り、法律上も窃盗罪の方が重く処罰できるようになっているのです。

~区別が難しいパターンも~

しかし両者の区別が難しいパターンもあります。
落とし物をしたが、持ち主がまだ近くにいるような場合です。

今回のトイレでの置き引きのケースで考えると、たとえばVさんがトイレを出た直後にAさんが財布を見つけて持ち去った場合には、窃盗罪が成立する可能性が高くなります。
置き忘れてからほとんど時間がたっておらず、財布と持ち主Vさんの距離もまだ近いことから、財布はまだVさんの占有下にあると判断される可能性が高いからです。

一方、置き忘れてから時間がたつほど、また場所的にVさんが財布から離れるほど、占有下にあるとは言いづらくなってきます。
しかし具体的にどれくらい離れると占有下にあるとは言えなくなるのか明確な基準があるわけではありません。
置き忘れた物が何なのか、他の利用客がどれくらいいたのか、などの現場の状況によっても変わってくるので、判断が難しいところです。

~弁護士にご相談ください~

あなた自身やご家族が、置き引きに限らず何らかの犯罪をしたとして逮捕されたり、取調べを受けたといった場合には、上記のようにどんな罪が成立するのかわからないことがあると思います。
他にも、いつ釈放される見込みなのか、処分・判決の内容はどうなりそうか、刑事手続きの流れなど、不安な点が多いと思います。

事件に応じたご説明を致しますので、ぜひ弁護士にご相談いただければと思います。

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