窃盗事件の懲役刑・執行猶予
窃盗事件の懲役刑・執行猶予
窃盗事件の懲役刑・執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
Aさん(東京都千代田区在住)は窃盗罪の容疑で警視庁神田警察署で捜査を受けていましたが、捜査の結果、窃盗罪で起訴されました。
Aさんは弁護士として既に国選弁護人を選任していましたが、国選弁護人の刑事弁護活動を信頼できず、現在の国選弁護人を解任して、新たに私選弁護人を選任しようと考えています。
また、Aさんは、懲役刑が宣告された場合、自分はどうなるのか不安を感じています。
そこでAさんは、東京都の窃盗事件にも対応している弁護士に、窃盗事件の刑事裁判や、懲役刑・執行猶予について相談してみることにしました。
(フィクションです。)
【窃盗罪と刑罰】
刑法235条は窃盗罪を規定しています。
刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
Aさんは窃盗罪で起訴されていますので、Aさんが有罪となった場合に科され得る刑罰としては「10年以下の懲役」又は「50万円以下の罰金」、さらにはこれらに「刑の執行猶予」が付くことが考えられます。
【在宅事件と懲役刑(実刑)】
Aさんの起こした窃盗事件は、逮捕されずに捜査等の刑事手続が進む、いわゆる在宅事件のようです。
こうした状況でもしもAさんに有罪判決が下され懲役刑(実刑)が科された場合、Aさんはいつ刑務所に収容されることになるのでしょうか。
刑事訴訟法471条は、裁判の執行について以下のように規定しています。
刑事訴訟法471条
裁判は、この法律に特別の定めがある場合を除いては、確定した後これを執行する。
Aさんが窃盗罪で有罪になり懲役刑(実刑)が科された場合、刑事訴訟法471条の「執行」とは懲役刑の執行、すなわち刑務所への収容を指します。
この刑務所への収容がなされるのは、判決(「裁判」)が「確定」したときであるとされています(刑事訴訟法471条)が、具体的に判決の確定日とはいつなのでしょうか。
判決の確定日とは、上訴期間が経過したときであると考えられています。
第一審の判決確定日については、判決宣告日の翌日から起算して14日間(刑事訴訟法373条)の控訴提起期間が経過したときであると考えられています(刑事訴訟法55条参照)。
以上をまとめると、Aさんが窃盗罪で有罪判決を受け懲役刑が宣告された場合、判決宣告日の翌日から起算して14日間(刑事訴訟法373条)が経過した後に懲役刑の執行、すなわち刑務所への収容がなされることになります。
実務上では、Aさんに懲役刑が宣告された場合、判決宣告日はいったん帰宅し、判決確定後に検察官から呼出しを受けて刑務所に収容されることになると考えられます。
【在宅事件と執行猶予】
先ほどまでは、Aさんが窃盗罪で有罪となり懲役刑(実刑)が科された場合を想定した流れを解説してきました。
これに対して、Aさんが窃盗罪で罰金刑が科されることになったり執行猶予が付されることになった場合、Aさんは刑務所に収容されることはなくなり、通常の社会生活を送ることができることになります(罰金刑が言い渡された場合には言い渡された額の罰金を支払う必要があります。)。
ただし、罰金刑であっても執行猶予が付いた懲役刑であっても、有罪となり刑罰を言い渡された場合には前科となることには違いありませんので、その点には注意が必要です。
罰金刑や執行猶予を獲得することができるかどうかは、被害者の方との示談が成立しているか、Aさんに前科があるかといった事情に左右されます。
もしAさんが未だ被害者の方との示談交渉を行っていない場合、刑事弁護士としては被害者の方との示談締結を目指し、示談交渉を行っていくことができると考えられます。
また、第一審で国選弁護人の刑事弁護活動に不満があった場合、控訴審で私選弁護人に切り替え、刑を軽くするための刑事弁護活動を行っていくことも考えられます。
例えば、第一審が確定してしまった後であっても、示談が成立すれば、控訴審で「第一審判決後の刑の量刑に影響を及ぼすべき情状」(刑事訴訟法393条2項)として示談結果を提出することができると考えられます。
どのような弁護活動が可能なのか、刑事事件の詳しい流れはどういったものになるのかは、その事件ごとの事情によるところも大きいため、まずは弁護士に直接相談してみることがおすすめです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を中心に取り扱う法律事務所です。
窃盗事件の懲役刑・執行猶予についてお困りの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。