窃盗罪と建造物侵入罪

2021-10-20

窃盗罪と建造物侵入罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

Aさんは宮城県内の事務所に侵入したのち、レジや金庫内から現金約10万円を窃取したとして窃盗罪と建造物侵入罪の容疑で逮捕されました。Aさんの家族は弁護士にAさんとの接見を要請しましたが、Aさんが刑務所に入ることになるのではないかと不安になっています。
(フィクションです。)

~窃盗罪と建造物侵入罪~

窃盗罪は刑法235条に規定されています。

刑法235条
 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

次に、建造物侵入罪は刑法130条前段に規定されています。

刑法130条
 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

建造物侵入罪は「正当な理由がなく」、「人の看守する建造物」に「侵入」した場合に成立する罪です。
事務所は「建造物」に当たります。「侵入」とは、看守者の意思に反した立ち入りのことをいいます。そして、事務所の看守者は事務所の管理人であることが多いかと思います。そして、事務所に無断で立ち入る行為は、管理人の意思に反した立ち入り、といえ「侵入」したことに当たるでしょう。

~牽連犯~

窃盗罪と建造物侵入宇t美とは、窃盗という目的を達成する手段として住居侵入するというように、目的と手段の関係にあります。このような関係にある犯罪を「牽連犯」といい、科刑上一罪となります。科刑上一罪となると、複数の犯罪のうち、最も重い刑で処断されることになります。
建造物侵入罪と窃盗罪とでは窃盗罪のほうが重い犯罪ですので、窃盗罪の法定刑である10年以下の懲役または50万円以下の罰金という刑で処断されます。

~Aさんの執行猶予の可能性は?~

執行猶予とは、その罪で有罪ではあるが、言い渡された刑(懲役刑、罰金刑)の執行を一定期間猶予する(見送る)ことをいいます。
執行猶予を受けるための要件は、刑法25条1項に規定されています。

刑法25条1項
次に掲げる者が3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる

1号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
2号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を受けた日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者

つまり、執行猶予を受けるには

1 3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けること
2 上記1号、あるいは2号に該当すること
3 (執行猶予付き判決を言い渡すのが相当と認められる)情状があること

が必要ということになります。

執行猶予を獲得するには、3の情状をいかに裁判でアピールするかがポイントとなります。

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