窃盗事件で釈放を目指す

2021-05-27

窃盗事件で釈放を目指す活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
大阪府西堺警察署は、大阪府堺市で起きた窃盗事件の被疑者としてAさんを逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAさんの妻は、事件についてあまり詳しく分からず不安で仕方ありません。
Aさんの妻は、刑事事件専門弁護士に相談し、早期の釈放を目指す活動について説明を受けています。
(フィクションです。)

窃盗事件といっても、万引きや置き引きなど、比較的被害額が軽微なものから、侵入盗のように被害額が大きく、ある一定の技術や慣れを必要とする犯罪に係る事情がより悪質とされるものまであります。
一般的に、侵入盗は、万引きや置き引きよりも犯情が悪質であり、被害額も多いことから量刑も重くなる傾向にあります。

窃盗事件の身体拘束については、万引きや置き引きなど、窃盗の中でも比較的軽微な類型の場合、前科・前歴がなければ逮捕されないケースは多くなっています。
前科・前歴がある場合でも、定職に就いている、住む場所があるなど身上が安定しているケースでは、勾留請求が却下されることが少なくありません。
一方、侵入盗など、窃盗の中でも重いとされる類型の場合、初犯であっても勾留される可能性は高くなります。

ここで、逮捕後の流れについてみていきましょう。

1.逮捕~72時間

逮捕による身体拘束の時間は、原則として、警察で48時間、検察で24時間となっており、最大で72時間です。
警察は、逮捕後48時間以内に、被疑者を釈放する、もしくは、関係書類や証拠物とともに検察に送致します。
被疑者の身柄を受け取った検察官は、24時間以内に、被疑者を釈放するか、あるいは、裁判官に勾留の請求を行います。

この段階で釈放を目指す活動は、担当検察官に勾留請求をしないよう働きかけることです。
具体的には、弁護士は、担当検察官と面談したり、意見書を提出するなどの方法で、勾留の要件を満たしていないことを客観的な証拠に基づいて説得的に主張します。

2.勾留請求~勾留決定

検察官への働きかけにもかかわらず、担当検察官が勾留請求をした場合、請求を受けて裁判官が被疑者を勾留するか否かを判断します。
裁判官は、事件に関する一見記録と被疑者との面談の内容に基づいて、勾留の要件を満たしているかどうかを検討します。
そこで、弁護士は、裁判官が決定を出してしまう前に、面談や意見書の提出の方法により、当該被疑者について勾留の要件を満たしていないことを客観的な証拠に基づいて主張し、裁判官に勾留決定をしないよう働きかけます。

勾留の要件は、①被疑者が罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があること、②住居不定・罪証隠滅のおそれ・逃亡のおそれ、にいずれかの要件があること、③被疑者を勾留する必要性、相当性があること、④先行する逮捕手続が適法であること、です。

勾留となる場合、多くは「罪証隠滅のおそれ」や「逃亡のおそれ」があると判断されることが多いため、証拠品が既に押収されていること、被害者や被害現場には近づかないことを約束していること、被疑者の家族等による監督が期待できること、仕事や学校があることなどを示し、それらのおそれがないことを証明していきます。
また、勾留によって被疑者が被る不利益、具体的には懲戒解雇や退学などの処分を受ける可能性が高いことは、勾留の必要性・相当性を害することになるとの主張も行います。

勾留されれば、原則として検察官が勾留請求をした日から10日間、勾留の延長が認められれば最大で20日間被疑者の身柄が拘束されることになります。

3.勾留決定後

勾留が決定した場合であっても、今度は準抗告の申立てを行うことにより釈放を目指します。
先に述べた勾留阻止に向けた検察官や裁判官への働きかけは、弁護人からのお願いという形となりますが、準抗告は、勾留という裁判に対する不服申立という法的な手続です。
裁判所に対して裁判官によってなされた勾留の裁判を取消し、検察官による勾留請求を却下するよう申し立てます。
勾留を決定した裁判官とは別の3人の裁判官がこの申立を検討し、最初の裁判が正しいかどうかを判断するのです。
ここで、準抗告の申立てが認められれば、被疑者の勾留は取り消され釈放されることとなります。

4.起訴後

捜査段階での釈放が困難な場合には、起訴後に保釈で釈放されることを目指します。
起訴後であれば、裁判に必要な証拠が既に押収されているため、保釈が許可される可能性が捜査段階よりも高くなります。
そのため、起訴が見込まれる場合には、起訴前から保釈請求の準備を行い、起訴後、直ちに保釈請求ができるようにしておく必要があります。

以上、窃盗事件で釈放を目指す活動について説明しましたが、逮捕・勾留により被疑者・被告人が被る不利益は大きく、できる限り早期の釈放を目指すことが重要です。
そのような釈放に向けた活動は、刑事事件に精通する弁護士に任せるのがよいでしょう。

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