【事例解説】窃盗癖のある人が起こした事件における弁護(後編)
前回に引き続き、窃盗癖のある人が引き起こした窃盗事件の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例
Aさんは、度々近所のスーパーやコンビニエンスストアで万引き行為を繰り返しており、同種前科も数件あります。
ある日も、Aさんは近所のスーパーで万引きをしたところ、店員に見つかって警察を呼ばれてしまいました。
いつもは捕まったとしても警察で取調べを受けた後、身元引受人として家族に来てもらい、帰宅することができていましたが、今回は窃盗の疑いで逮捕されてしまいました。
Aさんはどうすればよいのでしょうか。
(事例はフィクションです。)
Aさんは今までなぜ帰宅できていたのか
刑事手続には、「微罪処分」という処理があります。
犯罪捜査規範第198条によれば、「捜査した事件について、犯罪事実が極めて軽微であり、かつ、検察官から送致の手続をとる必要がないとあらかじめ指定されたものについては、送致しないことができる」とされています。
軽微な事件について、被害者が特に処罰を求めないような場合においては、警察限りで事件を終了させ、検察に事件を送致しない、ということです。
検察に事件が送致されない以上、起訴されることはまずないので、裁判にかけられることもありません。
このような微罪処分を行った場合は、被疑者に対する訓戒など、犯罪捜査規範第200条各号所定の処置が行われます。
ところが事例のAさんには、同種前科もありますし、また、度々万引きを行ってしまうため、今回警察は「微罪処分」を行わない方針に決めたのでしょう。
Aさんに必要な弁護活動
Aさんに同種前科があり、度々万引きを繰り返している、ということであれば、起訴される可能性が十分にあります。
早急に被害者に被害弁償を行い、示談を成立させる必要があります。
また、窃盗症の疑いがある、ということであれば、窃盗症の治療を受けることにより、再犯のおそれがないことをアピールして、より有利な処分の獲得を目指すことが考えられます。
Aさんの治療のために病院の受け入れ先を探す必要もありますし、逮捕・勾留されている状況では、このような治療を受けることができません。
したがって、早期の身柄解放を実現する必要があります。
早期の身柄解放を実現できる可能性を高めるために、より早い段階で弁護士を依頼することをおすすめします。