クレプトマニアと窃盗症
クレプトマニアと窃盗罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
A子さんは、千葉市内にあるスーパーマーケットで食料品等10点を万引きしたところを保安員に見つかり現行犯逮捕されました。実は、A子さんは、同じ万引きの窃盗前科を複数有してます。今後について不安になったA子さんと母親は弁護士に相談したところ、弁護士はクレプトマニアではないかと疑いはじめました。
~万引きは窃盗罪~
万引きは刑法の窃盗罪に当たります。
刑法235条
他人の財物を窃取した者は窃盗の罪とし,10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
万引きであっても初犯であるなど要件を満たせば微罪処分で刑事手続が終了する場合もあります。
しかし、2度目,3度目と万引きを繰り返した場合は、もはや微罪処分で終わることはないでしょう。
始めは罰金刑で済むこともあるかもしれませんが、それでも万引きを繰り返す場合は懲役刑を科され最悪の場合実刑となることもあります。
運よく執行猶予が付いた場合でも、その執行猶予期間中に再度万引き等の犯罪を犯せば、言渡された刑と執行を猶予された刑とを併せて服役しなければならなくなる場合もあります。
~クレプトマニア(窃盗症)とは~
クレプトマニア(窃盗症)とは、お金があるにもかかわらず、欲しくもない物を盗んでしまう病的な症状のこといい、一種の病的窃盗と呼ばれる精神疾患の一つです。
クレプトマニア(窃盗症)であると疑われる方の多くが、摂食障害(特に過食症)、物質使用障害、気分障害、不安障害(特に強迫性障害)などの精神障害を併合しているともいわれており、なかでも摂食障害は窃盗癖を合併しやすいといわれています。
厚労省研究班の調査では、摂食障害で治療を受けている患者数は、推計約2万5500人で、その9割が女性です。
摂食障害の大半は若年で発症し、栄養不足による判断力の低下や過食衝動、依存癖などを背景に、万引き行為を繰り返してしまうのは、摂食障害の典型的症状といわれています。
今回の事例のAさんのようにプロアスリートなど、厳しい体重制限を強いられるような方も摂食障害になってしまうことが多いようです。
そして、摂食障害が改善されないまま、摂食障害の影響から窃盗癖を患ってしまうということも考えられるのです。
クレプトマニア(窃盗症)であると診断された場合、刑務所等で行われる矯正処遇だけでは、再犯を防ぐことは難しいため、適切な治療を受けていくことが欠かせません。
近年のクレプトマニア(窃盗症)に対する関心の高まりから、クレプトマニア(窃盗症)を専門に治療する病院や患者同士の自助団体が増えています。
窃盗事件の再犯を防止するという観点から、クレプトマニア(窃盗症)と診断を受けた場合には、専門施設で治療することをおすすめします。
また、再犯防止に努めていくということは、刑を軽減してもらいたい場合などにおいて、裁判所に主張する情状として有益なものになり得ます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件などの刑事事件専門の法律事務所です。窃盗を繰り返してしまうものの自分ではどうしていいのか分からないとお悩みの方、窃盗で逮捕されてしまったが再犯防止して更生したいとお考えの方は、ぜひ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。