忍び込み事件で逮捕

2020-01-25

忍び込み事件で逮捕

今回は、忍び込み事件の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~
東京都府中市に住むAさんは、生活費の足しにするために、Vさんの居住する一戸建て住宅に侵入し、引き出しを開けるなどして金目の物を物色しました。
しかし何も見つからなかったので、そのまま外に出たところ、通報を受けて駆け付けた東京都府中警察署警察官から職務質問を受けました。
窃盗目的でVさん宅に侵入したことを認めると、Aさんは住居侵入の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。(フィクションです)

~住居侵入罪~

他人の家への忍び込みをしたAさんには、住居侵入罪窃盗未遂罪が成立する可能性が高いでしょう。

まず住居侵入罪は、正当な理由がないのに、人の住居に侵入する犯罪です。

「住居」とは、人の起臥寝食、すなわち日常の生活に使用される場所をいいます。
Aさんが立ち入った一戸建て住宅には、Vさんが居住しており、Vさんの日常生活に用いられていると認定することができると思われるので、住居」に該当するでしょう。

侵入」とは、管理権者の意思に反する立入りを意味します。
管理権者であるVさんは、Aさんが窃盗目的で自宅に立ち入ることを容認していないと思われるので、Aさんの立入り行為は、Vの意思に反する立入りと評価することができるでしょう。

したがって、Aさんは正当な理由がないのに、Vの意思に反して同人の自宅に侵入したということができるので、住居侵入罪が成立する可能性は極めて高いと思われます。

~窃盗未遂罪~

続いて、今回のAさんは何も盗まずに外に出ているので、窃盗未遂罪が成立するか否かが問題となります。

未遂犯は、犯罪の実行に着手し、これを遂げなかった場合に初めて成立します。
これ以前の状態(予備・陰謀)は、特別にこれを処罰する規定が存在する場合(刑法第201条は殺人の予備、刑法第78条は内乱の予備、陰謀を処罰するとしています)に限り処罰されます。

窃盗罪において実行に着手したかどうかは、対象となる物の形状、行為の態様、犯行の日時場所などの諸般の事情を考慮して決められます。
Aさんは、引き出しを開けるなどして金目の物を物色しており、遅くともこの時点で実行の着手が認められる、と判断されるでしょう。

このように窃盗の実行に着手したが、結局何も盗めず、犯罪は遂げていないので、Aさんには窃盗未遂罪が成立することになるでしょう。

~想定される弁護活動~

逮捕されるとまずは最長3日間、警察署等において身体拘束されます。
その後、証拠隠滅逃亡のおそれがあると判断されれば、さらに最長20日間、「
勾留」と呼ばれる身体拘束期間が続くことになります。
この期間は当然、外に出ることができず、会社や学校に行くことはできません。
したがって、早期に釈放されるように活動しなければなりません。

勾留されるのは、検察官勾留請求をし、これを受けた裁判官勾留決定を出す場合です。
弁護士は、検察官や裁判官に対し、勾留の要件を満たさないことを訴えかけ、勾留されないように活動することができます。
Aさんに住居がある、長く勤めている勤務先がある、信頼できる身元引受人がいる、取調べに対し、正直に供述している、などといった事情があれば、勾留されずに済む可能性が高まります。

他にも、Vさんと示談を成立させることができれば、Aさんにとって有利に事件を解決できる可能性が高まります。
示談が成立すると、当事者間で事件が解決したものと判断され、逮捕されている場合や、勾留されている場合であっても、釈放される可能性が高まります。
また、検察官が、最終的にAさんを不起訴(起訴猶予)処分とする可能性も高まります。

まずは、接見にやってきた弁護士からアドバイスを受け、上記の活動について尋ねてみることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が住居侵入、窃盗事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非ご相談ください。

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