【下着泥棒で逮捕】窃盗と不法領得の意思

2021-09-22

窃盗事件で逮捕されてしまった事例を題材に、弁護士による接見や窃盗罪における不法領得の意思などについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

事例:Aは、V女宅に干してあった下着を、自らの性的欲求を満たすためにV女に無断で持ち去った。
警察官は、Aを窃盗の疑いで逮捕した。
Aの家族は、窃盗事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。

~窃盗罪と不法領得の意思~

刑法235条は、「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」とし、窃盗罪を定めています。
したがって、まず窃盗罪が成立するためには、上記235条が規定する(客観的)要件に該当する必要があります。
そして、刑法は特別の定めがない限り、故意によって罪を犯した場合にのみ犯罪が成立します(故意犯処罰の原則)。
したがって、刑法38条1項本文にいう「罪を犯す意思」つまり「故意」が主観的な要件として必要となります。

さらに、注意すべきなのは、窃盗罪には条文には規定されていない書かれざる要件が存在するということです。
窃盗罪においては、故意のほかにも、主観的な犯罪成立要件として不法領得の意思が必要となります。
つまり、本件のような見るからに窃盗罪が成立しそうな事案においても、不法領得の意思があるかどうかを慎重に見極めなければなりません。
不法領得の意思とは、権利者を排除し、他人の財物をその経済的用法に従って利用処分する意思をいい、「権利者排除意思」と「利用処分意思」という二つ意思によって構成されます。
本件では、Aの行為に権利者であるV女を排除する意思が認められるのは明らかです。
しかし、Aは自らの性的欲求を満たすために下着を持ち去っており、経済的用法に従って利用処分する意思は認められないといえそうです。
もっとも、実務では、利用処分意思が認められるためには、他人の財物を利用することによって利益を得る意思があれば足りるものと解されています。
このように解する場合には、経済的用法に従い利用処分する意思はなくとも、利用処分意思は十分に認められることになります。
したがって、AのV女の下着を持ち去った行為には窃盗罪(刑法235条)が成立します。

~弁護士による逮捕された方との接見~

刑事訴訟法は、39条1項において、「身体の拘束を受けている……被疑者」は「弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者」と「立会人なくして接見」することができる旨を定めています。
これは、接見交通権と呼ばれる権利で、弁護士にのみ認められている特権です。
これに対し、弁護士の資格を有しない者は、一般面会によってのみ面会が可能になるにすぎません。
しかも一般面会は、逮捕段階では認められないのが通例です。
したがって、本件のように窃盗によって逮捕されてしまった場合、一刻も早く弁護士による接見を行うことが重要となってくるのです。
弁護士による接見では、逮捕されてしまったことによって混乱していることも多い被疑者に対し、法的なアドバイスはもとより、精神面に対するケアなども行うことが可能です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件を含む刑事事件を専門とする法律事務所です。
窃盗事件で逮捕された方のご家族は、まずは年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)までお電話ください。
刑事事件専門の弁護士による初回接見サービス等について、分かりやすくご案内いたします。

Copyright(c) 2018 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 All Rights Reserved.