死者に対する窃盗?占有離脱物横領事件 福岡の刑事事件専門の弁護士

2018-12-08

死者に対する窃盗?占有離脱物横領事件 福岡の刑事事件専門の弁護士

Aは、福岡県嘉麻市の草むらで血を流し倒れていたVを発見し、その手にバッグが握られていたことから、バッグから財布を抜き出してその場から立ち去った。
なお、AはVが死んでいるとは思っていなかったが、AがVを発見した時点でVはXにより殺されていた。
その後、福岡県嘉麻警察署の警察官は、占有離脱物横領罪の疑いでAを逮捕した。
(本件はフィクションです。)

~死者に対する窃盗罪の成否~

本件では、AはXに殺害されて死んでいたVから財布を奪ったことにより逮捕されています。
一般に、窃盗罪(刑法235条)と占有離脱物横領罪(刑法245条)は、被害品たる財物に対して他人の占有が及んでいるか否かによって区別されます。
本件のような場合、Vは死んでしまっているため、Vに財布の占有が認められるかが問題となります。

判例(最判昭和48年4月8日)は、被害者からその財物の占有を離脱させた自己の行為を利用して財物を奪取した一連の行為は、他人の財物に対する占有を侵害したというべきとし、殺人行為を行った者との間では、占有離脱物横領罪ではなく窃盗罪が成立すると判示しました。
これは、死者に窃盗罪の保護法益たる占有を認めたものではなく、あくまで殺人行為との関係では、なお生前の被害者の占有は保護に値するものとしたものにすぎません。
したがって、本件のようにたまたま殺害直後のVから財布を奪っただけのAには窃盗罪は成立せず、占有離脱物横領罪(刑法254条)が成立するにとどまります。
なお、Aの認識においてはVが死んでおらずかつVに占有が認められる場合でも、客観的には占有離脱物横領罪に該当する行為を行った以上、窃盗罪は成立しません。

このように、死者に対する窃盗では、窃盗罪となるのか占有離脱物横領罪になるのか、状況によって異なります。
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