【事例解説】スーパーでの万引き事件 発覚も微罪処分に
スーパーでの万引きが発覚したものの微罪処分で終わった事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
年金暮らしをしていたAさんは、近所のスーパーで毎日買い物をしておりスーパーの店長とも親しい間柄でした。
持病などで想定外の出費があり、Aさんはその日に食べる物も買えない経済状況になってしまいました。
空腹に耐えられなかったAさんは、近所のスーパーで未会計の弁当一点(600円相当)をカバンに入れて店を後にしようとしました。
しかし、丁度Aさんの万引き行為を目撃していた警備員に呼び止められ、Aさんはバックヤードで万引き行為の事実確認をされた後に警察に引き渡されました。
商品の弁当は買い取りになり、スーパーの店長も刑事処分は望んでいなかったことからAさんは最終的に微罪処分として終わりました。
(フィクションです。)
微罪処分とは
微罪処分とは、例外的に検察官への送致を行わずに警察限りで事件を終結させる処分のことを言います。
刑事訴訟法246条(出典/e-GOV法令検索)では、「司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定めのある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。」と定められており、司法警察員が犯罪の捜査をした事件については、原則として検察官に送致することになっています。
しかし、同法246条但し書きでは「但し、検察官が指定した事件については、この限りではない。」と規定されており、検察官が指定した事件については例外が設けられています。
この例外に当たる事件が、微罪処分で事件が終了する事件になります。
微罪処分になると、逮捕・勾留などの身体拘束を受けることがなく、前歴は残るとしても前科がつかないなど被疑者にとってはメリットが多くあります。
しかし、微罪処分で事件が終わるためには、いくつかの条件があり、初犯だからといって微罪処分で終わるわけではありません。
微罪処分になる条件とは
微罪処分になる事件としては「検察官が指定した事件」です。
どのような事件が検察官が指定した事件になっているかは都道府県ごとに異なり、条件は公表されていないため不明です。
しかし、これまでの処分の経緯からある程度、罪名や事情は予測することができます。
微罪処分の対象となる罪名は、主には窃盗、暴行、傷害、詐欺、横領、盗品等関与があげられます。
事情としては、①犯情が軽微であること、②被害が軽微であること、③被害の回復がなされていること、④真摯な謝罪がなされていること、⑤被害者の処罰感情が低いこと、⑥身元引受人などがいることなどが挙げられます。
万引きで警察から取り調べを受けることになったら
万引きが発覚し警察から取り調べを受けることになったら、いち早く弁護士に相談することをお勧めします。
早急に被害者との示談交渉や周囲の環境調整をして微罪処分で事件が終結するように働きかけることができます。