スリで現行犯逮捕されたら
スリで現行犯逮捕されたら
今回は、いわゆるスリを行ってしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
Aさんは福岡県北九州市の繁華街において、スリを行い、他人が持っていた現金などを遊興費として使っていました。
ある日、いつものようにスリを行うため、ほろ酔いのVの背後から近づき、Vのズボンの右後ろポケットから財布を盗んだところ、繁華街をパトロールしていた福岡県小倉北警察署の警察官に見咎められ、職務質問を受けました。
Aさんの手には、そのままVの財布が握られており、窃盗の現行犯として逮捕されてしまいました。(フィクションです)
~スリで成立する犯罪~
今回の様なスリの場合も、店舗で商品を盗む万引きの場合も、通常、「窃盗罪」(刑法第235条)の嫌疑をかけられることになります。
窃盗罪とは、他人の占有する財物を窃取する犯罪であり、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。
今回のケースの場合、Vの財布はVのズボンの右後ろポケットに入っていたのですから、明らかにVの占有が認められるでしょう。
Aさんは、その財布を自分の物として使うために、同ポケットから抜き出し、窃取したものと考えられるので、Aさんに窃盗罪が成立する可能性は極めて高いと思われます。
~逮捕後、Aさんはどうなるか?~
警察署に連れて行かれた後、犯罪事実の要旨、弁護人選任権について説明を受けた後、弁解を録取されます。
無料で利用できる当番弁護士をこのタイミングで頼み、アドバイスを受けることもできます。
取調べでは、余罪の有無について尋ねられる可能性が高いと思われます。
供述の内容によっては、後日、Aさんの自宅に捜索がなされる可能性があります。
捜索によって差し押さえられた物件によっては(薬物や銃刀法に違反する物件など)、さらなる余罪を追及される場合もあります。
ケースの窃盗事件の捜査が終わり、釈放される場合であっても、別の件で再逮捕されてしまう可能性も考えられます。
~検察への送致~
取調べ後、身柄を拘束しておく必要が認められると、警察は逮捕時から48時間以内にAさんを検察へ送致します。
検察では、身柄を受け取った時から24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内にAさんの勾留を請求するか、Aさんを釈放するかを決定します。
~勾留の判断~
Aさんの勾留の可否は裁判官が判断します。
勾留請求を受けた裁判官が勾留決定を出すと、10日間勾留されます。
さらにやむを得ない事由があると認められると、さらに最長10日間勾留が延長されます。
~Aさんに必要な弁護活動~
身体拘束が長期化すると、当然、Aさんにとっても重い負担がかかります。
また、外に出ることはできないので、勤務先や学校にも出勤、登校することができなくなります。
そのため、早期に外に出られるよう活動していかなければなりません。
(勾留を阻止する活動)
勾留請求されずに、あるいは、勾留決定がなされずにすめば、逮捕時から2~3日で外にでることができます。
そのためには、検察官や裁判官に対し、Aさんに逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれがないことを訴えかけなければなりません。
①Aさんに安定した職がある、②被害者とは面識がないし、住居も十分離れている、③信頼できる身元引受人が用意できる、という場合には、よりAさんにとって有利になります。
(勾留されてしまった場合)
勾留されてしまった場合は、「準抗告」や「勾留取消請求」などの制度を通じ、釈放を目指していきます。
(Vと示談をする)
Vと示談をすることができれば、当事者間で事件が解決したものと判断され、釈放される場合があります。
また、検察官がAさんのスリ行為を立証できるだけの証拠を収集できた場合においても、前科が付かずに終わる起訴猶予処分(不起訴処分)が得られる可能性が高まります。
Aさんの余罪が多数あり、全てについて証拠が揃っている場合には、起訴猶予処分の獲得は難しくなるかもしれません。
その場合であっても、示談が成立していることは、有罪判決を受ける場合の量刑に、有利な影響を与えることが期待できます。
まずは、接見にやってきた弁護士と相談し、より早期に、より有利に事件を解決することができるよう活動していきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が窃盗事件を起こしてお困りの方は、ぜひご相談ください。