(逮捕に強い弁護士)脱衣所の忘れ物を盗んだら窃盗罪か占有離脱物横領罪か
(逮捕に強い弁護士)脱衣所の忘れ物を盗んだら窃盗罪か占有離脱物横領罪か
Vさんは、泊まっていた大阪市中央区のホテルの大浴場の脱衣所に腕時計を忘れてしまった。
その後、同じホテルに宿泊していたAさんがこの腕時計を発見し、持ち去った。
後日、Vさんは風呂場に腕時計を置き忘れたことに気付き、ホテルに連絡するも見つからなかったため、大阪府東警察署に被害届を提出した。
防犯カメラの映像が決め手となり、Aさんは逮捕されたが、被疑罪名が窃盗罪ということに納得できず、弁護士に相談した。
(このストーリーはフィクションです)
~第三者の占有が認められるケース~
窃盗罪が成立するためには、窃取の対象となる財物が他人に占有されている(事実上支配されている)ことが必要です。(占有されていない財物を窃取した場合は、占有離脱物横領にあります。)
今回のケースでは、Vさんの脱時計は脱衣所に置き忘れられており、Vさんの占有下にはないため、Aさんの行為は占有離脱物横領罪に当たるようにも見えますが、Aさんの行為は窃盗罪に該当するのでしょうか。
刑法上、財物が所有者の占有下にない場合であっても、財物が置かれている場所を管理している人に占有が認められる場合があります。
場所を管理している人の占有が認められるかどうかは、財物が置かれている場所が事実上の管理、支配下にあるといえるかどうかで判断されます。
例えば、占有が認められた例としては、ゴルフ場の池に入ったロストボール(ゴルフ場側の占有)などがあります。
今回のケースでは、ホテルの大浴場の脱衣所は通常ホテルの利用者や従業員のみしか出入り出来ない場所ですので、ホテル側の実質的な支配下にあるといえそうです。
したがって、Aさんの行為は、ホテル側の占有を侵害したと評価され、窃盗罪に当たる可能性が高いです。
一方、電車の網棚に置き忘れられた荷物を置引きした事例では、電車は人の出入りが激しいため、荷物に対して車掌の実質的支配が及んでいるとまではいえず、占有離脱物横領罪に当たるとされたものもあります。
そのため、今回のケースも、腕時計が置き忘れられた場所が、宿泊客以外の人も数多く出入りするロビーであれば、占有離脱物横領罪となる可能性もあります。
窃盗罪と占有離脱物横領罪の量刑には大きな差があるため、被疑者にとってどちらの罪に問われるのかは大きな問題です。
しかし、上記のような置引き事件では、財物があった場所や時間、その場の状況によって窃盗罪に当たるのか、占有離脱物横領罪に当たるのかが変わるため、専門家である弁護士に詳しく相談してみることが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、窃盗事件等にお困りの方に向けて様々なサービスをご用意しておりますので、まずはお問い合わせください。
(大阪府東警察署の初回接見費用 35,300円)