以前逮捕された事実で任意出頭、再逮捕?

2020-02-04

以前逮捕された事実で任意出頭、再逮捕?

一度逮捕され、その後釈放されたものの、同じ事件について警察に任意出頭を求められ、再逮捕されないか心配というケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例】
埼玉県川口市に住むAさんは、盗み目的でVさん宅へ無施錠の玄関から立ち入ったという住居侵入罪窃盗未遂罪の疑いで埼玉県川口警察署の警察官に逮捕され、16日間勾留されました。
しかしその後、Aさんは刑事処分保留のまま釈放されました。
Aさんは、ほっとして通常の生活を取り戻しつつあったところ、突然、埼玉県川口警察署から出頭して欲しいとの連絡を受けました。
通常の日常生活を取り戻しつつあったAさんは驚き、
「このまま出頭すれば再逮捕されるかもしれない。」
と不安になりました。
そこで、Aさんは、以前逮捕された際に弁護してくれた弁護士の法律事務所に無料相談を申し込みました。
(フィクションです。)

~ 住居侵入罪 ~

まず、住居侵入罪について簡単に解説します。
住居侵入罪は刑法130条前段に規定されています。

刑法130条
 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

「住居」とは、人の日常生活に使用されている場所のことをいいます。
また、そうした場所に付属する場所(たとえば、敷地、庭など)も「住居」とされます。
「建造物」とは、学校や商業施設、駅舎など、人が出入りできる建物のうち「住居」を除いたものをいいます。

住居に侵入した場合が住居侵入罪、建造物に侵入した場合が建造物侵入罪です。
つまり、両罪は、同じ条文の中に規定されていることが分かります。

住居侵入罪と建造物侵入罪に共通する「侵入」とは、住居や建造物を管理している人(管理者)の意思に反する立ち入り、をいいます。
つまり、「侵入」に当たるかどうかは、管理者が当該立ち入りに関してどう考えるかにもよります。
したがって、たとえ、かつて同居していた人が家族から家への立ち入りを禁止されていたにもかかわらず立ち入った場合は住居侵入罪に問われる可能性もあります。

盗み目的で住居に入るという犯行もよくあることから、住居侵入罪窃盗罪とセットになることが多くあります。
Aさんも、住居侵入罪窃盗未遂罪逮捕されていたようです。

~ 任意出頭と再逮捕 ~

刑事事件の手続の流れについて、詳しくはこちらをご覧ください。
窃盗事件の流れ

事件の捜査は、被疑者逮捕して行う場合(身柄事件)と、逮捕しないで行う場合(在宅事件)があります。
逮捕
されていない事件、あるいは逮捕後に処分や判決前に釈放された事件
は、取調べ等のために捜査機関(警察検察)から出頭を求められることがあります。
これは任意出頭と呼ばれるもので、刑事訴訟法198条1項を根拠とします。

刑事訴訟法198条1項
 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。但し、被疑者は、逮捕又は勾留されている場合を除いては、出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる。

この規定によると、逮捕勾留されて身柄拘束が続いている場合でなければ、出頭を拒むことができます。
もちろん、実際にそうしていただいてもかまいません。
しかし、出頭を拒否された捜査機関側としては「何かやましいことがあるから出頭を拒否するだろう」と考えるでしょう。
したがって、出頭を拒否した方に対する嫌疑は増す一方です。
また、出頭拒否を繰り返すと逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断され、再逮捕されるおそれもあります。

本来であれば、何もやましいことがないからこそ出頭を拒否するのであって、上記のような印象を抱くのは納得のいかないところです。
しかし、現実問題、再逮捕されることも稀にあります。
出頭すべきか、あるいは出頭した場合に取調べでどのように受け答えすべきかといった点など、一度弁護士に相談されることをお勧めいたします。

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