【事例解説】自動車連続窃盗事件で逮捕(前編)
今回は、自動車をターゲットとした窃盗団に所属し、連続自動車窃盗事件の被疑者として逮捕されてしまった場合の弁護活動につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例
Aさんは、自動車をターゲットとする窃盗団に所属し、犯行時の見張りなどを担当していました。
窃取した自動車はアジトに持ち帰り、分解した上で部品を売却し、各構成員の貢献度に応じて収益が分配されていました。
前記窃盗団はある日の深夜、愛知県内の駐車場において、あらかじめ用意していた開錠器具などを用い、ターゲットである自動車の窃盗行為に着手しました。
Aさんはいつも通り、見張り役を担当していましたが、自動車を窃盗後、自動車を持ち帰る途中で職務質問を受け、警察署に任意同行をされることになりました。
その後、Aさんらは窃盗の疑いで逮捕されてしまいました。
(事例はフィクションです)
窃盗罪について
駐車場に駐車されている自動車の施錠を解除し、いわゆる「部品取り」として自動車を持ち帰る行為は「窃盗罪」(刑法第235条)を構成する可能性が高いでしょう。
Aさんは自動車窃盗行為を他の構成員と共謀した上で、あらかじめ決められた役割分担に従って自動車窃盗に関与し、収益を得ています。
Aさんの役割は自動車の開錠ではなく、犯行時の見張り役ですが、上記によれば、Aさんは窃盗の共同正犯として罪に問われる可能性が高いでしょう。
窃盗罪(第235条)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
共同正犯(刑法60条)
二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。
今後について
逮捕されてしまった場合は、犯罪事実の要旨、弁護人選任権について説明を受け、弁解を録取された後、取調べを受けることになります。
留置の必要があると認められると、逮捕時から48時間以内に身柄が検察へ送致されます。
送致を受けた検察官は、身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内にAさんの勾留を請求するか、Aさんを釈放するかを決めます。
勾留の請求を受けた裁判官が勾留決定を出すと、10日間勾留されることになります。
さらにやむを得ない事由があると認められると、最長10日間、勾留が延長されます。
勾留決定がなされる可能性について
Aさんに多数の余罪があるとみられていること、Aさんが所属していた窃盗団の実態解明、部品の売却ルートの解明に時間を要することから、勾留決定がなされる可能性が極めて高いと思われます。
窃盗団が他の団体とも関連がある場合には、検挙された構成員が黙秘することも見込まれます。
黙秘権の行使は被疑者の権利ですから、黙秘すること自体に問題があるわけではないのですが、当然、捜査に時間を要することになるため、身体拘束も長期化する可能性が見込まれます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が連続自動車窃盗事件の被疑者として逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。