(事例紹介)タクシー盗み乗り捨て 窃盗事件 

2023-03-15

事例
静岡県沼津市内でタクシーを盗んだとして、会社員の男が逮捕されました。逮捕の決め手は車内を撮影するカメラでした。
窃盗の疑いで逮捕されたのは静岡県沼津市に会社員の男(48)です。
警察によりますと、男は1月14日の午前6時ごろ、沼津市内で売り上げ金10万円やスマートフォンなどがのったままのタクシー1台(時価合計約250万円相当)を盗んだ疑いが持たれています。
事件当時、盗まれたタクシーは客を迎えに来ていて、運転手が家まで客を呼びに行くために車を離れたところ、通りがかった男がタクシーを盗んだものとみられます。
運転手が「タクシーを盗まれた」と通報したことから事件は発覚、捜査の末、タクシーは発見され、車内の様子を記録する車載カメラの解析などで男が特定され、逮捕に至りました。
(2月20日配信のSBS NEWSの記事を参考にしています。)

タクシーを盗み乗り捨てると
今回の事件では、男は、タクシーの運転手が離れた隙をついてタクシーに乗り込み、運転後にタクシーを乗り捨てているようです。
このような行為をした場合、窃盗罪が成立します。
窃盗罪は、他人の財物を窃取する行為により成立します。
今回の事件においては、タクシーは、運転手の占有している財物といえるでしょうから「他人の財物」に当たります。
また、運転手がタクシーから離れた隙をついて車に乗り込み逃走しているため、「窃取」ともいえるでしょう。
もっとも、窃盗罪においては、「不法領得の意思」を有している必要があります。
「不法領得の意思」とは、権利者を排除し他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従い利用処分する意思をいうとされています。
今回の事件のように、長時間車を使用し、乗り捨てているような場合は、返還意思もなく、あったとしても占有者の利用可能性を侵害するものであるとして権利者排除意思が認められるため「不法領得の意思」も有していると考えられます。
しかし、一時的な利用に留まり、返還意思もある場合は、使用窃盗として不法領得の意思が認められず不可罰となる可能性もあります。

不可罰となる使用窃盗とは
使用窃盗とは、他人の財物を無断で一時使用することであり、被害者の被る侵害が軽微であるため不可罰とされています。
使用窃盗に留まる場合としては、返還意志があり、なおかつ占有者の利用可能性を侵害することなく、価値の消耗も伴わない場合です。
具体例としては、Aが、駐輪してあった自転車を、少し使用した後に返還する意思で無断で使用し、10分後に元の場所に戻しておいたような場合です。
このような場合は、Aには、返還意志もあり、10分ほどの利用であるため持ち主の利用可能性も害されていなく、価値の消耗もほとんどないため使用窃盗として不可罰になる可能性が髙いでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、窃盗事件に関するご相談を受け付けています。
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