福岡県直方市の常習累犯窃盗事件で執行猶予

2019-05-05

福岡県直方市の常習累犯窃盗事件で執行猶予

~ケース~
福岡県直方市在住のAさんは,万引き癖があり,過去10年間に万引きで執行猶予の付かない懲役判決を3回受けている。
Aさんはしばらく万引きをせずに真面目に生活していたが,ある日ふとしたはずみでコンビニで菓子パン1個を万引きしたことからまた万引きを繰り返すようになってしまった。
ある日,万引きに気づいた店員の通報によってかけつけた福岡県直方警察署の警察官に逮捕され,Aさんは常習累犯窃盗罪として起訴された。
(フィクションです)

~常習累犯窃盗罪~

累犯とは非常におおまかにいうと,再犯することです。
刑法上では,
・懲役の執行が終わった日
・懲役の執行が免除された日
これらの日の翌日から,5年以内にさらに罪を犯して有期懲役に処せられた者を再犯といいます。
そして再犯の刑は,その罪について定めた懲役の長期の2倍以下とすると定められています。
万引き,すなわち窃盗罪の罰則は10年以下の懲役または50万円以下の罰金ですので,窃盗罪の再犯の場合は最大20年以下の懲役となります。

ところで,Aさんが起訴された常習累犯窃盗罪とはどのような罪なのでしょうか。
常習累犯窃盗罪は,盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律という法律に定められています。
この法律では,窃盗罪および強盗罪で過去10年間で3回以上6ヶ月以上の懲役を受けまたは執行の免除を受けた者が常習として窃盗等をした場合,3年以上の有期懲役に処すと定められています。
これがいわゆる常習累犯窃盗罪です。
有期懲役は最大で20年ですので,窃盗罪の再犯と最大刑自体は変わりません。
しかし,懲役の最低が3年以上という点が窃盗罪と異なり,窃盗罪よりも重くなっている部分であると言えます。
Aさんの場合,過去10年間に3回,窃盗事件での服役経験があるようですから,窃盗罪で「過去10年間で3回以上6ヶ月以上の懲役を受け」たという常習累犯窃盗罪の要件を満たしたのでしょう。
そして何度も万引きを繰り返してしまったことから窃盗の常習性も認められ,常習累犯窃盗罪での起訴に至ったのだと考えられます。

日本において,刑の執行猶予は基本的に3年以下の懲役でないと付けることはできません。
ですから,常習累犯窃盗罪のように,刑罰の下限が3年以上となっている犯罪では,執行猶予を付けることが非常に難しいです。
しかし,常習累犯窃盗罪でも酌量軽減は可能ですので,酌量軽減があれば刑罰の最短が1年6カ月以上の懲役となり,執行猶予を付けることが可能になります。
そして,執行猶予は前刑の執行を終わった日又は前刑の執行の免除を得た日から5年を過ぎていれば付けることもできます。

今回のAさんのケースでは,被害弁償などがされており反省の念が顕著であったり,専門機関での再犯防止の取り組みが行われていたりといった具体的な事情を示すことで,情状酌量による刑罰の減軽を獲得し,執行猶予を目指していくことが考えられます。
しかし,先ほど触れたように,常習累犯窃盗罪で執行猶予を獲得することは非常に難しいことですから,執行猶予を目指すのであれば適切な弁護活動が必要です。

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福岡県直方警察署での初回接見費用:41,400円)

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