会計前の商品食べて窃盗罪?
会計前の商品を食べて窃盗罪に問われる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
Aさんは、大阪府大阪市阿倍野区にあるスーパーマーケットで、会計前の商品を店内で食べ、レジでは空の容器をレジに出して、「先に食べてしまったのですが、代金は払います。」と言って会計を済ませました。
Aさんは、一連の様子を撮影しており、動画をインターネットの動画配信サイトに投稿しました。
スーパーマーケットの店長は、従業員から動画について報告を受け、大阪府阿倍野警察署に相談することにしました。
後日、阿倍野警察署は、Aさんを窃盗の容疑で逮捕しました。
Aさんは、「後でちゃんと代金は払っている。」と容疑を否認しているようです。
(実際の事件を基にしたフィクションです。)
会計前の商品を食べたら?
先月、YouTuberが会計前の刺身を食べる動画をYouTubeに投稿した結果、窃盗の容疑で逮捕されたという事件がありました。
このYouTuberは、刺身を食べた後に会計を済ませていたのですが、「窃盗」の疑いで逮捕されています。
このように、後で商品の代金を支払っていても、犯罪にはなり得るのです。
まずは、窃盗罪が成立する場合についてみていきましょう。
窃盗罪とは
刑法第235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
◇客体◇
窃盗罪の対象は、「他人の財物」です。
「他人の財物」とは、他人が占有する他人所有の財物のことです。
ここでいう「占有」というのは、物に対する事実上の支配をいいます。
自己の所有物でも、他人の支配下に入っているものや公務所の命によって他人が看守しているものは、他人の財物とみなされます。
◇行為◇
窃盗罪の実行行為は、「窃取」する。
「窃取」とは、他人の占有する物を、不法に領得する意思で、その他人の意思に反して占有を排除し、自己又は第三者の占有に移すことをいいます。
店の中にある商品は、通常店主の占有下にあります。
◇不法領得の意思◇
窃盗罪が成立するためには、財物の窃取が不法領得の意思をもって行われなければなりません。
これは、罪とならない使用窃盗と区別するため、及び毀棄・隠匿と区別するためです。
「不法領得の意思」というのは、権利者を排除して他人の物を自分の所有物を同様にその経済的用法に従って利用又は処分する意思のことをいいます。
以上、窃盗罪は、「他人の財物」を「不法領得の意思をもって」「窃取」することで成立します。
さて、本題に戻りますが、会計前に店の商品を食べた場合、たとえその後に会計を済ませたとしても、犯罪(窃盗罪)が成立するのでしょうか。
Aさんは、スーパーマーケットの商品を会計前に食べました。
通常、会計を済ませることで、商品の占有は客に移転し、客の占有する財物となります。
この商品については、会計前の商品ですので、スーパーマーケットの店主の占有する財物となります。
その他人の財物を、店主の許可を得ず勝手に店内で処分(=商品を開封し食べた)したことにより、窃盗罪が成立するものと考えられます。
後で会計をしたとしても、商品を開封した時点で実行行為に着手したと言え、遅くとも商品を食べた時点で犯罪は成立しています。
今回の事件における弁護活動は、主に、①被害者との示談交渉、及び②身柄解放活動となります。
①示談交渉
被害者がいる事件では、被害者との示談が最終的な処分に大きく影響します。
通常、被害者との示談交渉は、弁護士を介して行います。
当事者間での交渉は、感情的になりやすく交渉が難航する傾向にあります。
そのため、弁護士は、相手方と冷静に交渉し、お互いが納得できる内容での示談を成立させることが期待されます。
②身柄解放活動
逮捕後、勾留されると、逮捕から約13日間身柄が拘束されることとなります。
勾留が延長されると最大で23日間です。
長期間の身体拘束により、解雇や退学といった可能性が高まり、身柄拘束された方にとって大きな不利益が生じることとなります。
そのような事態を回避するために、逮捕後すぐに身柄解放活動に着手し、早期釈放を目指す必要があります。
弁護士は、検察官や裁判官・裁判所に対して勾留阻止に向けた活動を行います。
このような活動は、刑事事件に強い弁護士に任せるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とした法律事務所です。
ご家族が窃盗事件で逮捕されてお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。