窃盗の共犯事件で逮捕
窃盗の共犯事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
京都府向日市にある会社の事務所に忍び込み、現金や電気製品などを盗んだ疑いで、京都府向日町警察署は、Aさんを窃盗の容疑で逮捕しました。
調べに対し、Aさんは、「自分は車の運転と見張りを頼まれただけで、事務所の金は一切手を付けていない。」と容疑を否認しています。
Aさんは、接見にやって来た弁護士に事件について話し、自身がどのような責任を負うことになるのか相談しています。
(フィクションです)
窃盗の共犯事件
窃盗は、単独で犯行におよぶ場合もあれば、複数人で協力して遂行する場合もあります。
複数人が、共同して犯罪を実現する場合を「共犯」といいます。
この「共犯」には、「共同正犯」、「教唆犯」、「幇助犯」とがあります。
1.共同正犯
2人以上の者が、1個の犯罪を共同して実現する意思の連絡のもとに、各人が実行行為の一部を分担して犯罪を実行した場合を「共同正犯」といいます。
「共同正犯」が成立するためには、
①共同実行の意思
②共同実行の事実
がなければなりません。
①共同実行の意思
「共同実行の意思」というのは、2人以上の者が、お互いに他人の行為を利用し、補充し合って、ある犯罪の構成要件に該当する事実を実現しようとして通じ合う意思のことです。
他の実行者と共同して行う意思、つまり、ある犯罪を行うときに各行為者が相互に依存し、協力して犯罪を実現しようとする意思の連絡がなければなりません。
この意思は、数人の間に直接的に生じたものでなければならないわけではなく、共同者のうち特定の者を介して他の者に連絡されたことで、間接的に生じた場合でも構いません。
②共同実行の事実
「共同実行の事実」とは、2人以上の者が共同して実行行為を行うことをいいます。
つまり、各人が実行行為そのものを分担し、互いに他の共同者の行為を利用し合い、協力してある犯罪を実現することです。
この「共同実行の事実」は、その態様により、次の2つの分類されます。
(a)実行共同正犯
構成要件該当事実の実行行為を分担した場合を「実行共同正犯」と呼びます。
(b)共謀共同正犯
2人以上の者が、ある犯罪を行うため、共同意思のもとに一体となって、互いに他人の行為を利用し、各自の意思を実行に移す謀議をなし、これら共謀者のうち特定の者が共同の意思に基づいて実行した場合を「共謀共同正犯」といいます。
この場合、実際に実行行為を行わなかった者も共犯者としての責任を負うことになります。
共同正犯は、共同者全員が正犯者として扱われます。
2.教唆犯
「教唆犯」とは、人を教唆して犯罪を実行させた者をいいます。
教唆犯が成立するためには、
①他人に一定の犯罪を実行する決意を生じさせること。
②被教唆者が、その決意に基づいて犯罪を実行すること。
以上2点が必要となります。
3.幇助犯
「幇助犯」は、正犯を幇助した者のことをいい、
①正犯を幇助する意思をもって、幇助行為を行うこと。
②被幇助者である正犯が、実際に実行行為に及ぶこと。
により成立します。
「幇助」というのは、実行行為以外の行為で正犯を補助し、その実行行為を容易にする行為を意味します。
その方法は、凶器を正犯者に渡すといった物理的方法もあれば、正犯者を励ましたりアドバイスをするなどの精神的方法もあります。
幇助犯は従犯とされ、その刑は正犯の刑を減軽したものとなります。
見張り役は?
さて、窃盗の見張り役について、共同正犯となるのか、それとも従犯となるのかが問題となります。
判例では、被告人が事前に共謀して、見張り行為を分担するような場合には、共同正犯としているものが多くあります。
しかしながら、事案によっては、正犯性が否定される可能性もありますので、共犯関係を争う場合には、刑事事件に強い弁護士に相談するのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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