窃盗事件で正式裁判

2021-05-20

窃盗事件で正式裁判となった場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
大阪府豊中市に住むAさんは、市内のスーパーマーケットで商品を万引きしたとして窃盗の容疑で大阪府豊中南警察署に逮捕されました。
Aさんの夫が身元引受人となり、当日の夜、Aさんは釈放されました。
Aさんは、これまで何回も万引きで捕まっており、直近では1年前に略式命令で罰金50万円に処されました。
その後、大阪地方裁判所から起訴状と弁護人選任についての連絡書が自宅に届いたため、Aさんは裁判で弁護してくれる弁護士を探しています。
(フィクションです。)

窃盗事件で正式裁判に

原則、すべての刑事事件は検察官に送られ、検察官がその事件についての処分を行います。

万引き事件は、比較的軽微な犯罪ですので、初犯、かつ、被害額が小さい場合には、事件を警察段階で処理することがあります。
これを「微罪処分」といいます。
そうでない場合には、事件を検察官に送り、検察官は、捜査を遂げた結果、起訴する、もしくは起訴しない旨の決定を行います。

検察官による起訴には、略式命令請求、即決裁判請求、そして公判請求とがあります。
万引き事件の場合、2回目に検挙されたのであれば、被害額や被害の回復の有無にもよりますが、起訴猶予で不起訴として処理されることが多いです。
しかし、当然のことながら、何度も犯行を重ねるにつれて、処分もより厳しいものとなります。
3~4回目の検挙となれば、不起訴ではなく、起訴される可能性が高いのですが、この場合、検察官は略式命令請求をすることが多いでしょう。
検察官が略式命令請求をすると、簡易裁判所は公判手続を経ることなく、100万円以下の罰金または科料を科す裁判手続をとります。
この手続を「略式手続」といいます。

上の事例のAさんのように、直近で1年前に略式命令で罰金50万円に処されているケースでは、今回の事件も同様に略式手続で処理される可能性は低いと言えます。
つまり、今回の万引き事件については、検察官が公判請求をし、正式裁判が開かれることになるでしょう。

正式裁判となると、公開の法廷で、被告人が罪を犯したかどうか、罪を犯した場合はその刑罰をどのようなものにするかについて審理されます。
公判では、被告人が罪を犯したかどうかについて、罪を犯した場合の刑罰については、検察官と弁護人が提出する証拠に基づいて裁判官が判断します。
公訴事実を争わない事件であっても、犯行態様や動機などの犯情(犯罪にかかわる事情)に関する事実について争うことも多く、事実の認定が証拠に基づいて行われる以上、証拠収集は弁護人にとって重要な作業となります。
また、そもそも事実を争わない事件であっても、被告人に有利な情状事実は、判決において考慮される材料となるため、弁護人がきちんと立証する必要があります。
この場合には、適切な量刑を得るために、弁護人は、被告人が罪を犯すに至った背景、再犯可能性を低下させるための具体的な対策を、具体的な証拠を用いて立証していくことが期待されます。

罪を認める場合であっても、適切な量刑を得るためには、しっかりと公判に向けた準備を行うことが重要です。

万引き事件を起こし、公判請求され正式裁判を受けることになり対応にお困りの方は、今すぐ刑事事件に強い弁護士にご相談されるのがよいでしょう。

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