共同正犯と窃盗罪の中止未遂

2022-01-21

共同正犯と窃盗罪の中止未遂について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~刑事事件例~

ある日の夜A1さんとA2さんが共謀して東京都八王子市のVさん宅に侵入して金品を物色していました。
しかしA1さんは急に反省しA2さんに窃盗行為を中止しようと言いましたが、A2さんが納得しなかったのでA1さんだけ窃盗行為を中止して帰宅し、A2さんは窃盗行為を続け金品を窃取しました。
後日、A1さんは警視庁八王子警察署に窃盗罪の既遂で逮捕されたのですがA1さんは自分が何も盗んでいないのに窃盗罪の既遂になるのはおかしいと納得がいかず、刑事事件に強い弁護士に弁護を依頼しようとしています。
(フィクションです) 

問題点

共犯者が犯行を中止したものの、その後共犯者が単独で犯行を行った場合、未遂罪となるか既遂となるかが問題点です。
以下に検討をしていきましょう。

1 未遂罪とは
犯罪の実行に着手したが、既遂に至らなかった場合は未遂罪となります。

2 障害未遂とは
外部的な障害によって未遂となった場合のことをいい、刑が任意に減軽され、これを任意的減軽といいます。

3 中止未遂とは
外部的障害がなかったにもかかわらず、自ら犯罪の実行を中止した場合のことをいい、必ず刑が減軽され、これを必要的減軽といいます。
ただし、実行後に犯行を中止した場合は、結果が防止されなければ中止犯は成立しません。

4 共同正犯
共同正犯とは各共謀者が実行行為の一部を分担し、お互いの行為を利用して犯罪を実現する犯行のことです。
共犯者の一部の者が犯行を中止しても、他の共犯者によって犯行が継続され、犯罪が既遂に達した場合は、中止未遂は適用されません。
犯行を中止した共謀者が、他の共謀者の犯行を阻止することによって、はじめて中止未遂となります。

5 関係判例
共犯者がある場合には、全員が中止することによって、結果の発生を防止しなければ、中止犯にはならない(大審院判決大正12年7月2日)。

つまり共犯のA2さんが窃盗を中止しておらず、金品を窃取したため、A1さんにも窃盗罪の既遂が成立します。

A1さんに対する弁護活動 

A1さんは窃盗罪で逮捕されました。
A1さんの今後は、逮捕勾留起訴裁判というのが基本の流れになります。
逮捕後は検察官により勾留請求がされ、裁判所によって勾留が認められれば勾留(警察署の留置場にいること)となります。
勾留後最大20日後に検察官により起訴をされ裁判になります。
弁護士はまず勾留を阻止するため、勾留請求や勾留決定に対し意見を提出したり不服を申し立てることができます。
仮にここで却下されてもあきらめず、勾留が延長されるタイミングで再度意見を提出したり不服を申し立てます。
また、起訴をされず裁判にならないように検察官に意見を提出します。
そして勾留されたまま起訴された時も、保釈請求を行い、身柄の開放を目指していきます。 

ただし、身柄を解放されても警察官や検察官による取り調べは続きます。
弁護士ならば取り調べへの対応アドバイスを継続的にしていくことができます。
できるだけ早期に刑事事件に強い弁護士へ弁護を依頼すると良いでしょう。  
 
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
窃盗罪を犯した方の刑事弁護活動を行った経験のある刑事弁護士も多数在籍しております。
窃盗罪で逮捕されて納得がいかない場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

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