(データ紹介)窃盗事件と再犯・前科 窃盗罪は繰り返してしまう?
(データ紹介)窃盗事件と再犯・前科 窃盗罪は繰り返してしまう?
今回は、法務省の統計(令和3年犯罪白書:参考)を基に、令和2年に検挙された窃盗事件と、再犯・前科について確認していきます。
~窃盗事件と再犯・前科~
万引きなどの窃盗事件を起こす方の中には、過去にも複数回窃盗事件を起こしている方や、窃盗罪の前科を持っているという方もいらっしゃいます。
法務省の統計(令和3年犯罪白書)によると、令和2年に検挙された窃盗犯7万9,242人のうち、前科がない者が71.9%に対し、窃盗犯以外の前科がある者が7.9%、窃盗犯による前科(同一罪名による前科)のある者が17.1%、窃盗犯による前科(同一罪名による前科)が5犯以上の者が3%となっています。
この数字を見ると、「意外と再犯率が高くない」と思われるかもしれませんが、窃盗罪は、他の刑法犯と比較して、同一罪名による前科をもつ者の再犯が多い傾向にあります。
例えば、窃盗罪と同じ財産犯である詐欺罪について確認してみると、令和2年に詐欺罪で検挙された者のうち、詐欺罪以外の前科がある者が23.2%、同一罪名による前科のある者が11.5%、同一罪名による前科が5犯以上ある者が2%となっています。
さらに、窃盗罪同様に身近な犯罪でもある傷害罪・暴行罪について確認してみると、令和2年に傷害罪・暴行罪で検挙された者のうち、傷害罪・暴行罪以外の前科がある者が14.5%、同一罪名による前科がある者は10.7%、同一罪名による前科が5犯以上ある者は0.6%となっています。
令和3年犯罪白書によると、刑法犯で検挙された人のうち、同一罪名での前科がある人の割合がそれ以外の前科のある人よりも高かったのは、窃盗罪のみとなっていました。
こうして他の犯罪と比較してみると、窃盗罪で検挙された過去に前科がある人のうち、過去に同じく窃盗罪を犯したことによる前科のある人の割合が高いということが分かります。
また、同じく令和3年犯罪白書では、令和2年に窃盗罪で起訴された者のうち、前科を有していた者が50%を超えているという統計も出ています。
このように、窃盗事件では、「以前も窃盗罪を犯したことがある」「窃盗罪で前科がある」という人が、他の犯罪を比較して多い傾向にあります。
窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」(刑法第235条)です。
金額の低い万引きだったとしても、窃盗罪で検挙されることを何回か繰り返すごとに、当然下される刑罰は重くなっていきます。
最初はお詫びや弁償をして注意されて済んでいたとしても、回数を繰り返せば罰金刑を下されることになりますし、さらに繰り返せば起訴されて裁判を受けることや、刑務所へ行くことにもなります。
窃盗事件を起こしてしまった際には、刑事事件自体への対応も必要になってきますが、その後の再犯防止についても真摯に考え取り組んでいくことが求められます。
そのためにも、まずは刑事事件に精通した弁護士に相談してみることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、万引きを含む窃盗事件についてのご相談・ご依頼も承っています。
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