(事例紹介)遺体発見の住宅からおよそ600万円を盗んだとして警察官が逮捕②
【事例】
警視庁三鷹警察署の警察官が110番通報でかけつけた住宅から現金およそ600万円を盗んだとして、警視庁に逮捕されました。
窃盗と邸宅侵入の疑いで逮捕されたのは、警視庁三鷹署の地域課に勤務する巡査長で、三鷹市の住宅に侵入し、現金およそ600万円を盗んだ疑いがもたれています。
警視庁によりますと、この住宅には60代の男性が1人で暮らしていましたが、親族が訪問した際に死亡しているのが見つかり、110番通報をして容疑者を含む複数の警察官が現場にかけつけたということです。
その後、親族が元々あったとみられる1000万円以上の現金が少なくなっていることに気づき、事件が発覚しました。
容疑者は容疑を認めているということで、警視庁は「言語道断の行為で今後は捜査を尽くし厳正に対処して参りたい」としています。
(5月27日配信のTBS NEWS DIGの記事を引用しています。なお、氏名等は当事務所の判断で伏せています。)
【「死者の占有」についての判例】
判例では、殺害後に財物を領得する意思を生じて財物を奪った場合において「被害者からその財物の占有を離脱させた自己の行為を利用して財物を奪取した一連の行為はこれを全体的に考察して、他人の財物に対する所持を侵害したものというべきである」として窃盗罪の成立を認めたものがあります(最判昭和41.4.8)
しかし、今回の警察官は直接の犯人ではないため、この判例から考えても窃取した現金おそよ600万円につき、死者の占有を認めることはできないでしょう。
しかし、強盗殺人の犯人が、殺害の4日後に殺害場所とは異なる場所である被害者の自宅から財物を持ち出した事案では、窃盗罪の成立を認めています(東京地判平10.6.5)
ここでの判旨は「殺害の現場とは全く別の被害者の生前と何ら変わらない平穏な管理状態が維持され、施錠されている居室において財物を取る場合には、外形的行為を客観的に考察する限り窃取行為と何ら区別できず、単に殺害の現場やその付近で財物を取得した場合と異なり場所的接着性はそれほど問題にならず、また時間的な接着性についても相当緩やかに解するのが相当」として被害者の占有を認めています。
今回の事件についても、上記の判例に従う限り、平穏な管理状態が維持されていたであろう住宅から現金を窃取しているため、現金について、既に死亡していた家主の占有が認められる可能性があります。
現金に死亡した家主の占有が及んでいたといえる場合は、窃盗罪が成立する可能性が高いでしょう。
【窃盗罪に強い弁護士】
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