(事例解説)無人販売店舗での窃盗 自首を検討
事例紹介
無人販売店舗での窃盗の自首を検討しているケースについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
「Aさんは、冷凍餃子の無人販売店舗で冷凍庫から商品を取り出しましたが、代金を支払わずに、そのまま商品を持って店の外に出ました。
ある日、夕方のニュース番組で、Aさんが代金を支払わずに商品を持ち出す防犯カメラの映像がぼかしが入った状態で報道されました。
また、報道では、店舗のオーナーであるVさんが、警察に窃盗の被害届を出したと話していました。
この報道を見たAさんは、警察への自首を検討し始め、弁護士に相談することにしました。
(この事例はフィクションです)
無人のお店で商品を代金を支払わずに持ち出してしまうと?
ここ最近、冷凍餃子をはじめとする食品を無人で販売する店舗が増えてきていますが、それに伴って、このような無人販売店舗で代金を支払わずに商品を持ち去る窃盗事件が報道される機会も多くなってきています。
たとえ、店舗に人がいなくても、店舗内の商品には当然売主の占有が及んでいる(売主が商品を事実上支配している)といえますので、商品の代金を支払わずに持ち出す行為は、売主の意思に反する占有の移転にあたり、刑法235条の窃盗罪が成立する可能性が高いです。
窃盗罪の法定刑は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金となっていますので、窃盗罪で起訴されて有罪となった場合は、この範囲で刑が科されることになります。
窃盗罪について自首を検討されている方は
事例のAさんは、自身が窃盗をしている様子が報道されていることを知り、警察への自首を検討しています。
刑法では42条1項に自首について規定があり、そこでは、自首が成立するためには「捜査機関に発覚する前に」自首を行う必要があると規定されています。
「捜査機関に発覚する前に」とは、捜査機関が犯罪が発生したことを全く知らない場合や、犯罪が発生したことについて知ってはいるが犯人が誰であるかが分かっていない場合のことをいいます。
そのため、事例のように防犯カメラの映像が報道されている場合が、「捜査機関に発覚する前に」自首をしたといえるのかということについては、専門家である弁護士に、自首が成立する見込みがあるのか相談されることをお勧めします。
また、刑法42条1項では「その刑を減軽することができる」と規定されていますので、窃盗罪について自首が成立したとしても、窃盗罪の刑が必ず減刑されるというわけではなく、裁判所の自由な裁量によりなされることになります。
そのため、今回の窃盗事件について自首をした場合に、どのようなメリットがあるのかということについては、個別の具体的な事実関係にもよるところがありますので、この点についても事前に弁護士に相談して見通しを得ておくことをお勧めします。