【事例解説】万引き 自責の念に駆られて自首を検討
コンビニで万引きをした女性が自責の念に駆られて自首を検討している事案を参考に、窃盗事件における自首について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
Aさんは、仕事のストレスから自宅の近くにあるコンビニでお菓子数点を万引きしてしまいました。
コンビニの店員には気づかれず、現在警察からも連絡を受けていない状況でしたが、万引きをしてしまったことに耐えられなくなり自首をしようと思い弁護士に相談することにしました。
~自首・出頭とは~
自首とは、捜査機関に対し自身の犯罪事実を申告することをいいます。
自首が成立すれば、有罪判決を受ける場合において、刑が減軽されうるというメリットがあります。
また、自発的に犯罪事実を申告したことが評価され、逮捕されずに済む場合もあります
※刑法
(自首等)
第四十二条 罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。
2 省略
自首が成立するためには厳格な要件を満たす必要があり、それらを充足しなければ「自首」は成立せず、「出頭」として取り扱われることになります。
~自首の要件~
自首が成立するためには、
①自発的に自己の犯罪事実を申告すること
②自己の訴追を含む処分を求めること
③捜査機関に対する申告であること
④捜査機関に発覚する前の申告であること
が必要です。
これらを満たさない場合は、「出頭」扱いとなります。
この中で重要な要件としては、③捜査機関に発覚する前の申告という要件でしょう。
「捜査機関に発覚する前」とは、犯罪事実が捜査機関に全く認知されていない場合、および犯罪事実は認知されていても犯人の誰であるかが認知されていない場合をいうとされています。
なお、犯人が明らかで、犯人の所在だけが不明であるという場合は「捜査機関に発覚する前」とはいえません。
~事例のAさんには自首が成立する?~
事例のAさんが弁護士に相談した後で、自ら警察に行き自身がコンビニで万引きしてしまったことを警察官に打ち明けた場合は要件の①~③は問題なく満たすと考えられます。
また、④についてもAさんの万引き行為がコンビニの店員に全く気づかれていない状況であれば被害届なども警察に出されていないでしょうから、Aさんの犯罪事実を警察は認知していないと思われます。そのため、④の要件も満たされるでしょう。
以上から、Aさんが自ら警察に自身の行為を打ち明けた行為には自首が成立すると思われます。