【事例解説】理学療法士の男が万引きで警察から呼び出し
理学療法士の男が万引きで警察から呼び出しを受けた事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
理学療法士として働くAさんは、日々の仕事のストレスからいつも利用するスーパーで万引きを繰り返してしまっていました。
度重なる万引き被害に悩まされていたスーパーの店長は監視カメラのチェックを入念にすることにしていました。
そうしたところ、Aさんが食品を店の棚からエコバックに入れて、会計をせずに店を後にする様子が監視カメラに映っていました。
スーパーの店長は防犯カメラの映像とともに被害届を警察に提出しました。
捜査の結果、Aさんが特定され警察から呼び出しを受けるに至りました。
警察から呼び出しを受けたAさんは不安になり、弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
万引きについて
万引きは、刑法235条が規定する窃盗罪に該当する可能性がある犯罪です。
刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
今回の事例で、Aさんは万引きをしているため、窃盗罪に当たる行為をしています。
今回は任意の呼び出しという形ですが、場合によっては、逮捕、勾留され長期の身柄拘束を受け仕事や学校生活に大きな影響が出てしまう可能性もあります。
また、逮捕はされなかったとしても在宅で捜査は進んでいくため、起訴されて罰金刑や懲役刑を受けることになると前科がついてしまいます。
前科の内容により、資格が取り消されることもあるため、社会生活に多大な影響を及ぼしてしまいます。
理学療法士の免許の取消事由について
理学療法士の資格について定める「理学療法士及び作業療法士法」では、第4条で欠格事由が定められおり、各号のいずれかに該当する場合には免許を与えないことがある旨規定されています。
第4条1号では「罰金以上の刑に処せられた者」と定められています。
そのためこれから理学療法士の免許を得ようとするものが、万引きにより罰金以上の刑を受けている場合には免許が与えられない可能性があります。
また、免許の取消し等として7条1項において、4条各号のいずれにか該当するに至ったときは、免許を取り消し、又は期間を定めて理学療法士の名称の使用を停止を命ずることができる旨が規定されています。
もし、理学療法士として働いている間に万引きによる窃盗事件で罰金以上の刑を受けてしまった場合、免許の取り消しを受ける可能性があるため、仕事の影響は計り知れないものになります。
直ぐに弁護士に相談を
万引き事件においては、被害者との示談が不起訴や処分の軽減を図る上で重要になってきます。
今回のようなスーパーからの万引きでは、スーパーの店長や責任者の方との交渉になります。
万引き被害に悩まされているスーパーで働く方達は、被疑者に対する処罰感情が強いことも多いので、第三者である弁護士を利用しての示談交渉はメリットが多くあります。
また、示談の成立を踏まえた検察官との処分交渉などを行うことができるので、前科が付くことにより資格を失う可能性がある方はいち早く弁護士に依頼することをオススメします。