バイク窃盗事件における示談の重要性
今回は、バイクを窃取した疑いで逮捕されてしまった場合において、被害者と示談を成立させることの重要性につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
Aさんは、Vが駐車していたバイクを窃取し、乗り回していたところを警察官に呼び止められ、職務質問を受けました。
バイクがAさんのものではないことが判明したため、Aさんは●署に任意同行し、取調べを受けることになりました。
AさんがVからバイクを窃取したことを認めたため、Aさんはのちに窃盗の疑いで逮捕されてしまいました。(フィクションです)
~窃盗罪について解説~
窃盗罪は、他人の財物を窃取する犯罪であり、法定刑は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金となっています(刑法第235条)。
窃盗罪が成立するには、財物が「他人の占有」下にあり、その占有を移転し、取得することが必要です。
「占有」とは、財物に対する事実的支配を意味します。
他人が携行しているバッグ、他人が住居において保管している物については、当然に「占有
」が認められるでしょう。
もちろん、駐車場にとめてある他人のバイクについても、「占有」が認められる可能性が高いです。
AさんはVが駐車場にとめているバイクを盗み、乗り回していたとのことですが、前記事実関係によればAさんに窃盗罪が成立する可能性は高いでしょう。
~捜査は今後どのように進む?~
逮捕されてしまった場合は、警察署に引致され、取調べを受けることになります。
留置の必要があると認められるときは、逮捕時から48時間以内にAさんの身柄が検察に送致されます。
送致を受けた検察官においても取調べがなされます。
検察官は、身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内にAさんの勾留を請求するか、釈放するか、あるいは起訴するかを決定します。
(勾留請求後)
勾留請求に対し、勾留の可否を決定するのは裁判官です。
勾留決定が出されると、10日間勾留されます。
やむを得ない事由があると認められるときは、最長10日間、勾留延長がなされます。
(起訴、不起訴の別の判断)
検察官は勾留の満期日までにAさんを起訴するか、あるいは不起訴にするか、または処分を保留して釈放するかを決めます。
起訴されてしまった場合には、極めて高い確率で有罪判決を受け、前科がついてしまうことになります。
前科がついた場合の不利益として、①取得を目指していた資格が取得できなくなること、②目指していた職業に就けなくなること(前科があると就職できなくなる可能性のある職業は多数あります)、③就職、転職の際、不利に考慮される可能性が極めて高いことなどが挙げられます。
各人の生活スタイルによって前科が及ぼす悪影響はさまざまですが、いずれにしても前科があって得をすることは通常考えられません。
そのため、ケースの場合は前科がつかないようにする弁護活動が重要といえます。
特に、Aさんが盗んだバイクが高価な高級車であれば、懲役刑を言い渡される可能性はもちろん、実刑判決を受けることになる可能性もあります。
~早期に弁護活動に着手し、示談の成立を目指す~
ところで、検察官はAさんの有罪を立証できる証拠を有している場合であっても、Aさんの性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、不起訴処分(起訴猶予処分)を行うことができます(刑事訴訟法第248条)。
上記の起訴猶予処分を獲得するために、Vに対して十分な謝罪を行い、生じさせた損害を賠償して示談を成立させることが考えられます。
さらに、Aさんに対して寛大な処分を望む旨の条項(宥恕条項)を示談書に入れてもらうことができれば、Aさんにとってより有利な示談となります。
不起訴処分を獲得できれば裁判にかけられないので、有罪判決を受けることも、前科がつくこともありません。
しかしながら、愛用のバイクをAさんに盗まれ、勝手に乗り回されていたVとしては、Aさんに対して怒り心頭である可能性も当然考えられます。
Vと充実した示談交渉を行うためには、早期に弁護士を依頼し、十分な時間をかける必要があるでしょう。
バイク窃盗の疑いで逮捕されてしまった場合には、すぐに弁護士の接見を受け、善後策についてアドバイスを受けましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族がバイクを窃取した疑いで逮捕され、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。