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車から楽器を盗み逮捕

2019-07-14

車から楽器を盗み逮捕

埼玉県入間市に住むAさん。
深夜、繁華街の駐車場に停めてあった自動車の窓ガラスを割り、中にあった楽器などを盗んで逃走。
楽器などは後日リサイクルショップで売り、現金化しました。
楽器の持ち主がツイッターで、車上荒らしに遭ったこと及び楽器の特徴を画像付きでツイートし、拡散されていたこともあって、リサイクルショップから売れる前に楽器が盗品であることが判明。
リサイクルショップや被害のあった駐車場付近の防犯カメラ映像も分析され、Aさんの犯行と発覚。
Aさんは埼玉県狭山警察署の警察官によって逮捕されました。
(フィクションです)

~成立する犯罪~

車上荒らしの遭い、車内に置いていた高級品などが盗まれるということが度々起こっています。
Aさんが自動車から楽器等を盗んだ行為には窃盗罪が、また自動車の窓を割った行為につき器物損壊罪が成立することになるでしょう。

刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

刑法261条
前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

さらに、リサイクルショップに対し、盗品だということを隠して楽器を売り、現金を受け取った行為には、詐欺罪が成立します。
盗品だと知っていれば、リサイクルショップ側は買い取りしなかったと思われるからです。

刑法246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

これらの罪を同時に刑事裁判にかけられた場合、併合罪(刑法45条以下)という処理がされ、最大で15年以下の懲役及び80万円以下の罰金となる可能性があります。

~今後の刑事手続きの流れと弁護活動~

逮捕されたAさんは、はじめに最大3日間の身体拘束がなされます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして、検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大20日間の身体拘束がされる可能性があります。
その後、検察官が刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートし、保釈が認められない限り、身体拘束が続く可能性があります。

これらの手続に関し、弁護士はたとえば以下のような弁護活動を行います。
まず、検察官が勾留請求しなければ、または裁判官が勾留を許可しなければ、最初の3日間で釈放されます。
そこで検察官や裁判官に対し、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことや、身体拘束が続くことによる本人や家族などの不利益を具体的事情に基づいて主張し、勾留を防ぎます。

また、検察官が起訴しないという判断(不起訴処分)をすれば、刑事手続はそこで終わり、釈放される上に前科も付きません。
そこで、自動車及び楽器の所有者やリサイクルショップに賠償して示談を成立させたり、有利な事情があれば出来る限り主張して、不起訴処分にするよう検察官に要請していきます。

そして起訴された場合も、本人に有利な事情を主張し、執行猶予などの軽い判決で済むよう弁護していきます。
もちろん、被害金額や前科の有無などによっては、釈放させるのが難しい、あるいは実刑が避けられないといったケースもあることには注意が必要です。

~弁護士に相談してみる~

逮捕されるとご本人やご家族は、どんな罪が成立するのか、どのくらいの刑罰を受けることになりそうか、刑事手続はどのように進んでいくのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか、示談交渉はどう行ったらいいのか等々、不安点が多いと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、逮捕されていない場合は、事務所での法律相談を初回無料で行っております。
接見や法律相談では、上記の不安点などにお答えいたします。

窃盗罪や詐欺罪、器物損壊罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひご相談ください。

万引きを繰り返すほど重罰に

2019-07-09

万引きを繰り返すほど重罰に

神奈川県相模原市に住むAさんは、万引きの常習犯です。
食べるものに困っているわけではないのですが、どうしても万引きをやめられないAさん。
ある日、Aさんはコンビニで店員の目を盗み、自分のカバンに商品を入れ、店舗の外に出ました。
しかし、犯行の様子を見ていた他のお客が店員に伝え、店員が防犯カメラの映像を確認。
Aさんの犯行が発覚し、Aさんは神奈川県津久井警察署の警察官によって逮捕されました。
(フィクションです)

~万引きで成立する犯罪~

お金はあるのに万引きをやめられないという依存状態に陥っている方がいます。
クレプトマニア、あるいは窃盗症などと呼ばれる精神疾患の一つであることもあり、そうした場合には医療的ケアが必要でしょう。

なお、万引きをすると窃盗罪が成立します。

刑法第235条(窃盗)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

~複数の窃盗を行っていた場合~

Aさんは万引きの常習犯なので、より重く処罰される可能性があります。
すなわち、今回の窃盗とは別の機会に行った窃盗についても証拠が揃い、同時に刑事裁判にかけられることになった場合、併合罪(刑法45条以下)と呼ばれる処理がされます。

懲役刑を科す場合、窃盗罪懲役10年以下ですので、刑法47条の規定により、1.5倍の15年以下の範囲内で懲役が科される可能性があります(3つ以上の犯行を同時に刑事裁判にかける場合も15年以下です)。
罰金刑を科す場合は、窃盗罪50万円以下ですので、刑法48条2項により「50万円×起訴された窃盗罪の数」の金額の範囲内で罰金が科される可能性があります。

~再犯加重~

Aさんに前科がある場合は、さらに重く罰せられる可能性があります。

刑法第56条第1項
懲役に処せられた者がその執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に更に罪を犯した場合において、その者を有期懲役に処するときは、再犯とする。

第57条
再犯の刑は、その罪について定めた懲役の長期の2倍以下とする。

つまり、前科で実刑判決を受け服役し、出所日から5年以内に再犯した場合、通常の窃盗罪の2倍にあたる20年以下の範囲で懲役を科される可能性があるわけです。
なお、前科の犯罪が執行猶予判決だったのであれば、執行猶予が取り消され、前科の刑罰と今回の窃盗の刑罰の両方が科される可能性があります。

~常習累犯窃盗~

さらに、Aさんが窃盗で過去10年以内に懲役6か月以上の執行を3回以上受けていた場合、常習累犯窃盗として、3年以上20年以下の懲役となる可能性があります(盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律3条参照)。

前述の再犯加重も20年以下の懲役ですが、「○年以上」といった下限の設定がないので、下限は1か月となります(刑法12条1項参照)。
これに対し常習累犯窃盗の場合、より悪質性が強いので、下限が3年となるわけです。

~刑事手続きの流れと弁護活動~

逮捕されたAさんは、まずは最大3日間の身体拘束がなされます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして、検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大20日間の身体拘束がされる可能性があります。
その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートし、保釈が認められない限り、身体拘束が続く可能性があります。
そして刑事裁判で無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。

刑事裁判では、万引きでも前述のような重い処罰を受ける可能性は否定できません。
しかし、凶悪犯罪ともいえないので、常習性がどの程度進んでいるかといった事情にもよりますが、検察官が被疑者を裁判にかけないという判断(不起訴処分)をしたり、起訴されても罰金刑などで終わる可能性もあります。

弁護士としては、被害店舗に弁償して示談を締結したり、被疑者が反省の態度を示していること、治療に通っていること、家族の監督が望めることなど、本人に有利な事情があれば出来る限り主張し、軽い処分・判決を目指す弁護活動をしていくことになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事弁護を専門とする事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、逮捕されていない場合は、事務所での法律相談を初回無料で行っております。
窃盗罪などで逮捕された、捜査を受けたという場合には、一度弊所の弁護士にご相談ください。

東京都西多摩郡の共犯事件について②

2019-07-04

東京都西多摩郡の共犯事件について②

~前回からの流れ~
東京都西多摩郡に住むAさんは、先日会社を解雇され、無職となりお金に困っていました。
そんな中、Aさんは数年ぶりにパチンコ店で会った知人の男Bさんから、「お金に困っているの?」「空き巣の家を見つけたから家に入って貴金属を盗ってそれを売って金にしよう」ともちかけられ、この話に乗ることにしました。
犯行日当日、犯行場所で、AさんはBさんから「俺が中に入ってやるから、誰も来ないかどうか外で見張りをしていてくれ」と言われました。
そして、Aさんは外で見張りをしていたところ、被害者宅から貴金属を盗ってきたBさんから「中におばさんがいた。貴金属の在りかを吐かなかったので、ナイフで脅した」と言われました。
その後、AさんとBさんは現場から逃走しました。
そして、数か月後、警視庁青梅警察署に、Aさんは邸宅侵入罪と窃盗罪の共犯、Bさんは住居侵入罪と強盗罪で逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

~ はじめに(前回のおさらい) ~

前回は、共犯の概要についてご説明いたしました。
おさらいすると、共犯は次のように区分されました。

最広義の共犯 ――――― 必要的共犯
         |        (広義の共犯)        
         | 
         |―― 任意的共犯 ―――― 共同正犯 
                   |
                   |――― 教唆犯
                   |        (狭義の共犯)
                   |――― 幇助犯

今回は、まず、教唆犯、幇助犯についてご説明いたします。

~ 教唆犯(刑法61条1項) ~

教唆犯とは、人を教唆して犯罪を実行させた者をいいます。
教唆犯が成立するには、

・人を教唆すること
・それに基づいて被教唆者が犯罪を実行すること

の2つの要件がそろうことが必要です。

* 教唆とは *
教唆とは、まだ犯罪に対する実行の決意をしていない他人を唆して、犯罪実行の決意を生じさせることをいいます。
この点が、すでに犯罪の実行を決意している者の犯行を容易にする幇助と大きくことなるところです。
教唆犯は、自ら犯罪を実行した者(正犯者といいます)と同様の地位にあることから、教唆犯にも正犯者と同様の刑を科すとされています。
教唆は、特定の犯罪の実行を決意させるに足りるもでなければなりませんから、単に「やってこい」とか「殺人をせよ」などと漠然と言っても教唆には当たりません。

~ 幇助犯(刑法62条1項) ~

幇助犯とは、正犯を幇助した者をいいます。
幇助犯が成立するには、

・人を幇助すること
・被幇助者が犯罪を実行すること

の2つの要件がそろうことが必要です。

* 幇助とは *
幇助とは実行行為以外の行為をもって正犯を援助し、その実行行為を容易にすることをいいます。
上でご説明いたしましたが、幇助は、すでに犯罪実行の決意のある者の犯行を容易にする点が教唆と異なるところです。
そのため、正犯者より責任が軽いと考えられており、幇助犯の刑は正犯の刑を減軽する(必要的減軽)とされています(刑法63条)。

~ Aさんに強盗罪は成立しないのか? ~

最後に、本件の、Aさんの罪責、Bさんの罪責についてご説明いたします。
前回のブログでは、Aさんには、邸宅侵入罪、窃盗罪が成立するとご説明いたしました。
では、Bさんは強盗罪に当たることをしていることから、Aさんにも強盗罪に問えないかが問題となります。
しかし、判例の考え方は、「Aさんが窃盗罪の認識であれば、強盗罪と『重なり合う』窃盗罪の範囲でのみ刑責を負う」としています。
何をもって重なり合うとするのかは別の機会に解説を譲ることにして、Aさんとしては、Bさんが強盗罪を犯すことは意外だったのですから、強盗罪まで責任を負わせるのは酷だという考えです。
ごく当たり前といえば当たり前の結論です。

一方の、Bさんは強盗罪についてはAさんと共謀していないのですから、邸宅侵入罪、強盗罪の単独犯としての責任を負うことになります。

~ 共犯事件の弁護士は、被告人につき一人 ~

これも当たり前と言えば当たり前ですが、共犯事件の場合、共犯者同士でも主張や利益が異なることから、一人の弁護士が全ての共犯者の弁護をすることは好ましくありません。
したがって、共犯事件では、共犯者一人につき一人の弁護士が付くことが好ましいと言えます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
共犯事件についてのご相談も受け付けております。
刑事事件少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。
無料法律相談、初回接見サービスのお問い合わせを24時間受け付けております。

東京都西多摩郡の共犯事件について①

2019-06-29

東京都西多摩郡の共犯事件について①

東京都西多摩郡に住むAさんは、先日会社を解雇され、無職となりお金に困っていました。
そんな中、Aさんは数年ぶりにパチンコ店で会った知人の男Bさんから、「お金に困っているの?」「空き巣の家を見つけたから家に入って貴金属を盗ってそれを売って金にしよう」ともちかけられ、この話に乗ることにしました。
犯行日当日、犯行場所で、AさんはBさんから「俺が中に入ってやるから、誰も来ないかどうか外で見張りをしていてくれ」と言われました。
そして、Aさんは外で見張りをしていたところ、被害者宅から貴金属を盗ってきたBさんから「中におばさんがいた。貴金属の在りかを吐かなかったので、ナイフで脅した」と言われました。
その後、AさんとBさんは現場から逃走しました。
そして、数か月後、警視庁青梅警察署に、Aさんは邸宅侵入罪と窃盗罪の共犯、Bさんは住居侵入罪と強盗罪で逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

~ 共犯とは ~

Aさんは共犯として逮捕されていることから、まずは、共犯の意義についてご説明いたします。

最も広い意味での共犯(最広義の共犯)とは、2人の以上の行為者が犯罪に加功した場合をいいます。
最広義共犯は任意的共犯と必要的共犯とにわけられます。
任意的共犯とは、本来は単独犯による犯罪実現が予定されている通常の構成要件(犯罪成立のための要件)を2人の以上の行為者が実現する場合をいい、広義の共犯ともいいます。
広義の共犯には

・共同正犯(刑法60条)
・教唆犯(刑法61条)
・幇助犯(刑法62条)

があり、教唆犯と幇助犯を狭義の共犯といいます。
必要的共犯とは、構成要件上、2人以上の行為者による犯罪実現を予定して規定されている犯罪をいいます。
例として、

・内乱罪(刑法77条)
・騒乱罪(刑法106条)
・贈賄罪(刑法198条)と収賄罪(刑法197条ないし197条の4)

があります。
このうち前二者を集合的犯罪(同一の目標に向けられている数人の行為者の集団的行為を独立の構成要件とするもの)と呼ぶのに対し、贈賄罪と収賄罪のように、相反する数人の行為者の対立的行為を独立の構成要件とする犯罪を対立的犯罪とも呼びます。
以上を図にすると以下のとおりとなります。

最広義の共犯 ――――― 必要的共犯
         |        (広義の共犯)        
         | 
         |―― 任意的共犯 ―――― 共同正犯 
                   |
                   |――― 教唆犯
                   |        (狭義の共犯)
                   |――― 幇助犯

~ 共同正犯とは? ~

以上、一言で共犯といっても様々な種類があり、分類されることはお分かりいただけたと思います。
必要的共犯の場合は、犯罪そのものが共犯の形式を取りますから、任意的共犯、つまり、共同正犯、教唆犯、幇助犯が適用される余地はありません。
では、その他の犯罪の場合、任意的共犯が適用されるのはどんな場合なのでしょうか?
まずは、共同正犯から見ていきたいと思います。

共同正犯は刑法60条に規定されています。

刑法60条
2人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。

正犯あるいは正犯者とは、犯罪(基本的構成要件)に該当する行為(実行行為)を行う者のことをいいます。
刑法60条は、意思の連絡(共謀)の下に複数の者が関与した事案において、自己の犯罪を犯したと評価し得る重要な関与者を正犯とし、他人(Bさん)の実行行為及び結果につき、共同して行えば全て帰責される(刑事責任を負わされる)という「一部行為の全部責任の原則」を認める規定です。

~ 共同正犯の成立要件 ~

それでは、共同正犯が成立するためにはいかなる要件が必要なのでしょうか?
言い換えれば、他人が行った行為及びそれによって作出された結果を仲間内である共犯者にも帰責させるための要件とはいかなるものなのでしょうか?
共同正犯が成立するためには、主観的要件としての「共同実行の意思(意思の連絡=共謀)」、客観的要件としての「共同実行の事実」が必要です。

= 共同実行の意思 =
共同実行の意思とは、共同して実行行為をしようという意思のことをいいます。
共同加工の意思ともいわれます。
共同実行の意思は、2人以上の行為者全員が相互に持たなければなりません。
したがって、甲がVに暴行を加えている間、甲の知らない間に乙がVの財布を盗んだという場合、窃盗罪(あるいは暴行罪)の共同正犯は成立しません。

= 共同実行の事実 =
共同実行の事実とは、共謀した行為者が実行行為を分担することであり、共同加功とか行為の分担ともいわれています。

* 共謀共同正犯 *
ところで、共同して犯罪を行う場合、一部の者が指示役、残りの者が実行役というように、役割分担が決められている場合があります(近年、はやりの特殊詐欺がまさにこれに当たります)。
しかし、指示役は実際に犯罪を実行していませんから「共同実行の事実」が認められず、刑事責任を問えないかのようにも思えます。

そこで、判例は共謀共同正犯という理論を用いて、指示役にも共同正犯としての刑事責任を負わせています。
共謀共同正犯とは、2人以上の者が犯罪の共謀をし、そのうちある者が実行をすれば、実行を分担しなかった者の含めて共謀者の全員が共同正犯となるとする理論です。

~ 本件への当てはめ ~

では、上記要件を本件に当てはめてみましょう。
まず、「共同実行の意思」ですが、AさんはBさんから「空き巣に入って貴金属を盗ってそれを売って金にしよう」ともちかけられ、Aさんはそれに対し「承諾」しています。
Bさんの誘いは、要は邸宅侵入罪及び窃盗罪の誘いであって、相互に意思連絡があると認められます。
ですから「共同実行の意思」の要件は満たします。

次に、「共同実行の事実」ですが、本件の実行行為を行っているのはBさんです。
しかし、上記でご説明したとおり、実行行為を分担していなくても共同正犯の成立を認めるのが現在の実務です。
しかも、Aさんは現場周辺で見張りをしています。
したがって、「共同実行の事実」の要件も満たしそうです。

以上より、Aさんは邸宅侵入罪、窃盗罪共犯(共同正犯)で逮捕されています。

~ 本件の疑問点 ~

しかし、ここで一つの疑問がわきます。

・Bさんは強盗の罪を犯した
・Aさんには影響はないのか?Aさんの罪責は?

という点だと思います。
そこで、次回は、教唆犯、幇助犯についてご説明した上で、この点についてもご説明したいと思います。

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高齢者と万引き

2019-06-24

高齢者と万引き

東京都練馬区に住む高齢女性のAさん(79歳)は、4年前に夫と死別し、現在、一人暮らしです。
Aさんは普段、買い物するとき以外はめったに外出せず、話相手もいません。
そして、Aさんは、ある日、いつもどおり夕食の買い物に出かけました。
Aさんは、買い物かごに野菜や魚などを入れ、最後にお菓子コーナーに行きました。
Aさんは好きなスナック菓子を見て、「毎日、毎日、同じ生活で退屈だ。」「これくらい盗んでも迷惑はかからないだろう。」と思い、持ってきた手提げバックの中にスナック菓子1袋(販売価格216円)を入れました。
その後、Aさんは、レジで買い物かごに入れた商品のみを精算し、店外へ出たところ、保安員という女性から腕をつかまれ「どうしてか分かりますよね?」などと言われました。
Aさんは事務室に連れていかれ、駆け付けた警視庁石神井警察署の警察官に事情を聴かれました。
そこでAさんは、「毎日、毎日、同じことの繰り返しで寂しかった。」「話相手が欲しかった。」などと話しており、万引きしたことについては素直に認めています。
Aさんは逮捕されることはありませんでしたが、後日警視庁石神井警察署に改めて呼ばれることになりました。
Aさんは、Aさんの息子とともに、今後の事件の見通しや対応などについて弁護士に相談しました。
(フィクションです。)

~ はじめに ~

平成30年度版犯罪白書(以下、犯罪白書といいます)によると、平成29年度に刑法犯で検挙された高齢者(65歳以上の者)の数は4万6264人で、平成10年の1万3739人から約3.4倍増加したとのことです。

そして、罪名別にみると、「窃盗罪」で検挙された高齢者が圧倒的に多いことが分かっています。
ちなみに、犯罪白書によれば、

① 窃盗罪    50.8% (うち万引きが30.8%、万引き以外が20%)
② 傷害、暴行罪 21.7%
③ 横領罪     8.3%
④ 詐欺罪     4.6%
⑤ その他    14.6%

という順になっています。
また、この中でも高齢女性万引きの割合が高いことが目を引きます。
犯罪白書によれば

65歳から69歳 86.7%(うち万引きが69.5%、万引き以外が17.2%)
70歳以上    93.1%(うち万引きが82.5%、万引き以外が10.6%)

窃盗罪を占めており、特に、70歳以上の女性高齢者については、82.5%万引きを占めています。

~ 万引きは窃盗罪 ~

万引きはいうまでもなく窃盗罪です。
窃盗罪は刑法235条に規定されており、罰則は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
また、万引きを常習的に繰り返すと、常習累犯窃盗罪という罪に問われ、「3年以上の懲役」に処せられる可能性があります(ただし、窃盗罪などでの服役前科が過去10年以下に3回以上あることなどが必要)。
高齢者だからといって量刑が軽くなることは基本的にはありません。

~ 万引きで微罪処分を目指す ~

微罪処分とは、簡単にいうと、警察で検挙されても事件が検察庁へ送致されない手続のことをいいます。
検察庁へ送致されないわけですから、微罪処分となれば、

・起訴、不起訴の刑事処分を受けない
・懲役刑、罰金刑の処罰を受けない
・前科が付かない

というメリットを受けることができます。
犯罪白書によれば、平成29年における高齢者の微罪処分人員2万3965人のうち8割を窃盗罪(うち万引きは65.2%)が占めたとのことです。

微罪処分を獲得するには、まずは被害者に対し真摯に謝罪するとともに、示談交渉を進めて示談を締結し、その結果を警察に提出する必要があります。
示談交渉は弁護士にお任せください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事事件少年事件を専門とする法律事務所です。
刑事事件少年事件でお悩みの方は,まずは,0120-631-881までお気軽にお電話ください。
24時間,無料法律相談,初回接見サービスの受け付けを行っております。

福岡県うきは市でバッグのねこばば

2019-06-19

福岡県うきは市でバッグのねこばば

【事件】
Aさんは,福岡県うきは市内を走行中の電車内で隣の座席に座っていたVさんが網棚にバッグを置いているのを見つけました。
その後,Vさんがバッグを置き忘れたまま降車し電車が発車したのを良いことに,Aさんはこのバッグをねこばばしました。
後日,Vさんが被害届を出したのをきっかけに,駅構内の監視カメラの映像などからAさんは福岡県うきは警察署で取調べを受けることになりました。
(フィクションです)

【遺失物等横領罪】

ねこばばをしてしまった際に問われうる犯罪の1つとして,遺失物横領罪が挙げられます。
遺失物等横領罪は,遺失物,漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した場合に成立する犯罪です(刑法第254条)。
遺失物横領罪の法定刑は,1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料となっています。

遺失物横領罪は,典型的には,ねこばば行為が処罰の対象となっています。
遺失物とはいわゆる落とし物のことで,占有者(行為者ではない者)の意思によらずにその占有を離れ,未だ誰の占有にも属さない物のことです。
漂流物とは,遺失物のうちでも特に水面や水中に存在する物のことをいいます。
占有とは,財物が人の事実上または法律上の支配下にある状態を指します。

また,条文中には書かれていませんが,遺失物横領罪の成立には不法領得の意思も必要となります。
なぜなら,この意思がなくても処罰可能とするならば,例えば警察に届けるつもりで落とし物を拾った場合でも処罰されることになりかねないからです。
不法領得の意思とは,権利者を排除し,他人の物を自己の所有物と同様に利用しまたは処分する意思ないし目的のことをいいます。

遺失物等横領罪の成否を考える上では,遺失物の所有権者が権利者ということになります。

今回の事件では,Aさんは本来のバッグの所有者であるVさんの意思に反してこのバッグを自分のものとしており,一見すると遺失物等横領罪が成立しそうに考えられます。
しかし,ねこばば行為でも窃盗罪に問われる場合があることに注意が必要です。

【窃盗罪と遺失物等横領罪】

窃盗罪は,不法領得の意思をもって他人の財物を窃取した場合に成立する犯罪です(刑法第235条)。
窃盗罪の法定刑は10年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

過去の事例では,被告人が,バスに乗るために行列していた被害者がバスを待つ間に置き忘れていた高級カメラを持ち去ったケースについて,カメラは「なお被害者の実力的支配のうちにあったもので,未だ同人の占有を離脱したものとは認められ」ず,窃盗罪が成立するとした判例(最判昭和32・11・8刑集11巻12号3061頁)があります。
この事件では,被害者はカメラを身辺の左約30センチメートルのところに置き忘れ,行列の移動に伴って先に進みはじめて5分後(距離にして約19.6メートル)に気が付いて引き返したが,既に被告人により持ち去られていたという状況でした。

つまり,今回の事件においてもバッグが未だVさんの占有下にあるということになれば,Aさんはねこばば行為について遺失物等横領罪ではなく窃盗罪に問われる可能性が高くなるといえます。

法定刑は窃盗罪に比べて占有離脱物等横領罪の方が圧倒的に軽く,弁護活動の方針としては,ねこばばがあったことが事実であるとして,占有離脱物等横領罪に止まることを主張する活動も考えられます。
こうした主張は専門的知識に基づき行われる必要がありますから,お早めに弁護士に相談されることがおすすめです。
福岡県うきは市ねこばばの事実で窃盗罪あるいは遺失物等横領罪の被疑者となってしまった方,福岡県警うきは警察署で取調べを受けることになってしまった方は,刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談下さい。

京都市左京区で空き巣

2019-06-14

京都市左京区で空き巣

【事件】

Aさんは,京都市左京区内にあるVさん宅の家人が1週間旅行に出ることを確認し,その不在に乗じて空き巣に入ることを計画しました。
Vさんらが旅行に出て3日目,深夜2時30分ごろに誰もいないこのVさん宅に侵入したAさんは,金品を物色し始めました。
しかし,誰もいないはずのVさん宅の部屋の電気がついていることを不審に思った隣家の住人が,京都府下鴨警察署に通報しました。
午前2時45分ごろにAさんは駆けつけた京都府下鴨警察署の警察官によって住居侵入罪の現行犯で逮捕されました。
(フィクションです)

【住居侵入罪】

正当な理由がないのに,人の住居もしくは人の看守する邸宅,建造物もしくは艦船に侵入した場合には住居侵入罪(刑法第130条前段)が成立します。
住居侵入罪の法定刑は3年以下の懲役または10万円以下の罰金です。
また,住居侵入罪は未遂も処罰されます(132条)。

住居とは,人の起臥寝食に使用される場所を指します。
邸宅とは,住居用に作られた建造物とこれに付随する囲繞地(塀や柵などで囲まれている土地)のことです。
「人の看守する」とは,管理人や監視人がいたり,鍵がかけられているなど,現実に人が支配・管理している状況にあるという意味です。

また,「侵入」とは,住居権者またはその委任を受けた看守者等の意思(推定的意思を含む)に反して,住居等の領域に立ち入ることと理解されています。
違法な目的を隠しての住居権者等の承諾を得た場合も,真意に基づく承諾ではないため住居侵入罪の成立が認められています。

今回の場合,Aさんは旅行で留守となっている邸宅に空き巣目的で侵入しているので,住居侵入罪の成立が認められる可能性は非常に高いと言えます。

【窃盗罪】

今回,Aさんは空き巣目的でVさん宅に侵入しており,現に金品を物色しています。
この金品を物色する行為が窃盗罪の実行の着手と言えるのかということも,Aさんに問われる容疑内容を把握するために重要です。

窃盗罪は,他人の財物を窃取した場合に成立します(刑法第235条)。
法定刑は10年以下の懲役または50万円以下の罰金で,未遂も処罰されます(243条)。

ここでの財物とは有体物である動産のことを意味します。
この動産の金銭的ないし経済的価値の有無は問われません。

窃取とは,占有者の意思に反して財物に対するその占有を排除し,その財物を自己の占有下に移す行為です。
占有とは,現実に物を支配している状態を意味します。

どのような場合に占有があるか認められるかは一概には言えませんが,過去の裁判例では,海中に落した物(最決昭和32・1・24・刑集11-1-270)やバス待合所に一時的に置き忘れたカメラ(最判昭和32・11・8刑集11-12-3061)などで所有者が意識していたり置いた場所をすぐに思い出して取りに戻ったりした場合にはその占有が認められています。

逆に,広大な湖沼に逃げ出した鯉(最決昭和56・2・20刑集35-1-15)や大規模スーパー内の6階で置き忘れたが被害者が思い出して10分後に取りに戻った財布(東京高判平成3・4・1判時1400-128)について,その占有を否定した裁判例があります。

以上の裁判例を見ると,裁判所はその物が意識して置いてあるように見えることを重視して占有の有無を認定しているといえます。

具体的には以下のようなものを基準としています。

①場所
自宅や自己の管理する場所内か,一般に人がその物を意識して置く場所かなど

②物自体の特性
忘れやすい物か,高価な物か,大きいか等

今回Aさんが盗ろうとした物はVさん宅内の物であり,その住人に占有が認められる物であるといえそうです。

いよいよ本題に移って,Aさんが物色行為をしたことにより窃盗罪の未遂に達しているかという問題を考えてみましょう。

結論から言うと,物色行為時に未遂の成立が認められる場合が多いことから,Aさんの場合も未遂が認められる可能性が高いです。

ただし,目的としている物に接近してはじめて未遂が認められている事件(最決昭和40・3・9刑集19-2-69)もあり,物色を開始したからといって必ずしもその時点で未遂が認められるわけではなさそうです。

【弁護活動の方針】

今回のような事件では,被害者への早期の謝罪と示談によって不起訴処分を獲得できるようにすることが賢明だと考えられます。
示談内容,特に示談金の交渉などは弁護士に依頼することで円滑に進めることが期待できます。
逮捕されてしまっている場合,弁護士が適切なアドバイスをすることによって早期の身柄解放の可能性も高まります。

住居侵入罪や窃盗罪の容疑をかけられてしまった方,ご家族やご友人が京都府下鴨警察署に逮捕されてしまって困っている方は,刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談下さい。

窃盗と近接所持

2019-06-09

窃盗と近接所持

神戸市長田区に住むAさんは無職でお金に困っていたころから、他人の家に入って貴金属など高価な物を盗み、これをお金に換えようと考えました。
Aさんは、令和元年5月29日午後1時頃、日頃から目を付けていた一人暮らしの高齢者Vさん宅に無施錠の玄関から入りました(Vさんは自宅外で畑仕事をしており不在でした)。
Aさんは仏壇等を物色したところ、宝石のようなものを見つけたのでこれをポケットの中にしまい、玄関から外へ出ました。
そして、乗ってきた車で自宅へ戻りました。
Aさんは、「すぐに売れば脚が付く」と思い、犯行から2日後に質屋へ行き宝石を売ったところ、5万円で売れました。
Aさんは、手に入れたお金はパチンコに使いました。
ところが、後日、Aさんは住居侵入罪窃盗罪の容疑で兵庫県長田警察署に逮捕されました。
Aさんは、取調べの警察官に「知人からもらったもので盗んではいない」「知人の名前は迷惑がかかるから言いたくない」などと話しています。
(フィクションです。)

~ 窃盗事件の特殊性 ~

窃盗事件において、犯人が被害品を窃取したところを目撃する人やその場面を映し出した防犯カメラ映像等の直接証拠があることは稀です。
こうした直接証拠がない窃盗の否認事件では、被疑者・被告人=窃盗犯人であろうことを推認させる「情況証拠」の積み重ねによって被疑者・被告人=窃盗犯人であることが立証されます。
その際、窃盗事件では「近接所持の論理」が用いられることがあります。

~ 近接所持の論理とは ~

近接所持の論理とは、窃盗の被害発生の時点と近接した時点において、盗品を所持していた者については、盗品の入手状況につき合理的な弁明をしない限り、盗品を窃取した者としてもよいとする理論です。
より具体的には、

・盗難の被害と盗品所持ないし処分との間に、時間的・場所的な近接性があるという事実
・盗品の入手経路に関する弁解が不合理ないし虚偽であるという事実
・その他の情況証拠(動機の有無、犯行の機会の有無、技能の有無、現場痕跡等との同一性など)

を総合的に判断して犯人性(被疑者・被告人=窃盗犯人)を認定するという考え方です。
これは、盗難被害発生の直後であれば、

・被害品はいまだ窃盗犯人の手中にあることが多いという経験則
・その時点であれば、窃盗以外の方法でその物品を入手した者は、自己の入手方法について具体的に弁明し、容易にその立証をすることができるはずであるという論利則

を前提としているなどと説明されています。

近接所持の論理は、単に、時間的・場所的近接性だけで犯人性を認定する理論ではありません。
Aさんも、犯行から2日後に質屋に売却した事実に加えて、Aさんがお金に困っていた事実、Vさん方へ入った事実等を裏付ける証拠があったからこそ逮捕されたのかもしれません。

~ 犯人性を否認する場合の弁護活動 ~

「盗んだのは自分ではない」などと窃盗の犯人性を否認する場合は、その入手経緯につき明らかにする必要があるでしょう。
Aさんから「知人からもらった」というのであれば、その知人とは誰なのか、名前は、関係性は、いつ、どこで、どのような意図・経緯でもらったかなどを明らかにする必要があります。
「知人に迷惑をかけるから言いたくない」などと言っていると、「自分で盗んだのだから言えないだけだ」→「もらった、という話は嘘だ」→合理的な弁明ではない、などと判断されるおそれが大きくなります。
弁護士としては、被疑者・被告人の方から、どういう経緯で入手したかなど一刻も早く事実関係を聴取した上で、それに沿った弁護活動をする必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。
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万引きで懲役3年以上?

2019-06-04

万引きで懲役3年以上?

主婦のAさんは,令和元年5月1日、大阪府箕面市にある100円ショップで日用品(販売価格108円)を万引きしたところ、保安員に見つかり、窃盗罪の現行犯で逮捕されてしまいました。
実はAさんは、過去5回、万引き(いずれも窃盗罪)で検挙されたことがあり、そのうち3回は刑務所に服役していました。
1回目の服役は平成20年12月1日から平成21月6月1日(懲役6月)まで、2回目は平成25年4月1日から同年12月1日(懲役8月)まで、3回目が平成29年3月1日から平成30年1月1日(懲役10月)まででした。
現行犯逮捕され大阪府箕面警察署の警察官に引き渡された後、Aさんは、窃盗罪ではなく常習累犯窃盗罪で起訴されました。
(フィクションです。)

~ 常習累犯窃盗罪とは ~

常習累犯窃盗罪は、万引きなどの窃盗罪を繰り返し、さらに窃盗既遂罪あるいは窃盗未遂罪を犯した場合に問われ得る犯罪です。
常習累犯窃盗罪は、「盗犯等ノ防止及処分二関スル法律(以下、法律)」の3条に規定されています。

~ 法律3条の要件 ~

法律3条の規定は以下のとおりです(ひらがな部分は実際はカタカナです)。

常習として前条に掲げたる刑法各条の罪又はその未遂の罪を犯したる者にしてその行為前10年内にこれらの罪又はこれらの罪と他の罪との併合罪に付き3回以上6月の懲役以上の刑の執行を受け又はその執行の免除を得たるものに対し刑を科すべきときは前条の例に依る

この規定を分解すると、

1 前条に掲げたる刑法各条の罪(刑法235条(窃盗)、236条(強盗)、238条(事後強盗)、239条(昏睡強盗))の罪又はこれらの未遂の罪を犯したこと
2 1記載の犯罪を常習として犯したこと
3 1記載の犯罪又はそれらの犯罪と他の犯罪との併合罪につき、懲役6月以上の刑の執行を受け又はその執行の免除を得たことがあること
4 3が、行為前の10年以内に3回以上あること

となります。

= 1について =
本件で、1に掲げる罪又はこれらの未遂の罪を犯したことが必要です。

= 2について =
「常習として」とは、反復して特定の行為を行う習癖をいいます。
常習性の有無については、行為者の前科・前歴はもちろん、性格、素行、犯行の動機、手口、態様、回数などを総合的に検討して判断されます。
したがって、「常習性」の認定は前科のみで判断されるわけではありません。

* 常習性が否定された裁判例 *
過去の窃盗前科の犯行態様が、ドライバーを使って古いアパートの錠を外して侵入し現金を盗んだ、という人が、本件で、スーパーマーケットの缶詰2個を万引きしたという事案で、動機・態様を著しく異にしており、本件が窃盗の習癖の発現としてなされたものであるとは認められないとして常習性が否定された裁判例(東京高裁:平成5年11月30日)があります。

= 3について =
「1記載の犯罪」とは、刑法235条(窃盗)、236条(強盗)、238条(事後強盗)、239条(昏睡強盗)の罪又はこれらの未遂罪をいいます。
「刑の執行を受け」とは、刑務所内に服役したことを意味します。
つまり、執行猶予の場合は含まれませんが、執行猶予が取消され、服役した場合はもちろん含まれます。
そして、10年以内の3回の刑のうち最後の刑の執行に着手されれば足り、執行が終了したことを要しないとされています。
したがって、最後の刑について仮釈放となり、その仮釈放中に常習として窃盗等を行った場合でも、3の要件を満たすことになります。

= 4について =
「10年以内」とは、10年以内の3回の刑のうち最初の刑の執行終了日が10年以内であれば足り、その執行開始日が10年以内である必要はないと解されています。

= Aさんについて =
1の要件→◎:Aさんは、本件で万引き、つまり窃盗罪を犯しています。

2の要件→△:常習性の判断は上記で記載した事情を総合して判断しますが、過去の前科も万引きだったことからすれば常習性は認められやすいでしょう。

3の要件→◎:Aさんは、過去、窃盗罪につき3回服役していることが認められます。
最後に刑の執行に着手されたのは平成29年3月1日です。

4の要件→◎:Aさんの最初の刑の執行終了日は平成21年6月1日です。
これは行為日(令和元年5月1日)から遡って10年以内に含まれます。

以上から、Aさんは常習累犯窃盗罪に処せられる可能性が高いといえます。

~ 常習累犯窃盗罪の法定刑は? ~

法律3条では「前条の例に依る」とされています。
前条、すなわち法律2条を見ると、「窃盗を以て論ずべきときは3年以上の有期懲役に処す」とされていますから、常習累犯窃盗罪の法定刑は「3年以上の有期懲役」ということになります。
執行猶予付きの判決を受けるためには、「懲役3年以下」の判決の言い渡しを受けることが必要ですから、常習累犯窃盗罪に処せられると、基本的に実刑を覚悟しなければなりません。

しかし、法律上の減軽事由(刑法66条等)に当たる事情がある場合は、法定刑が減軽され、執行猶予付きの判決を獲得できるハードルを低めることはできます。
お困りの方は弁護士までご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗罪をはじめとする刑事事件少年事件を専門とする法律事務所です。
刑事事件少年事件でお困りの方は、まずは、お気軽に0120-631-881までお電話ください。
無料法律相談、初回接見サービスのお問い合わせを24時間受け付けております。
大阪府箕面警察署までの初回接見費用:38,700円

埼玉県蕨市のクレプトマニア窃盗事件

2019-05-30

埼玉県蕨市のクレプトマニア窃盗事件

~ケース~
埼玉県蕨市在住のAさんは埼玉県蕨市内のスーパーマーケット内において日用品数点(2000円程度)を万引きしたところ,万引きGメンに見つかり事務所に連れていかれました。
事務所で話をしているとAさんが同一店舗で万引きを複数回繰り返していることが判明したため,店長Vは警察に通報しAさんは窃盗罪の疑いで埼玉県蕨警察署に逮捕されました。
Aさんの家族は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所初回接見サービスを依頼しました。
接見に行った弁護士は,Aさんはクレプトマニア(窃盗症)ではないかと考えています。
(フィクションです)

~クレプトマニア~

クレプトマニアとは日本語にすると「窃盗症」といいます。
窃盗症とは,お金があるにも関わらず必要のない物を盗んでしまうという,一種の精神疾患です。
最近では元マラソン選手がクレプトマニア(窃盗症)ではないかというニュースがあり言葉を耳にした方も多いと思われます。

クレプトマニア(窃盗症)であると疑われる方の多くが,過食症などの摂食障害,気分障害,強迫性障害などの他の精神障害を患っている場合が多く,なかでも摂食障害はクレプトマニア(窃盗症)を合併しやすいといわれています。
また,摂食障害を患っている患者の9割が女性であり,同様にクレプトマニア(窃盗症)を患っている患者も女性が多いようです。

摂食障害の大半は若年で発症し,栄養不足による判断力の低下や過食衝動,依存癖などを背景に万引き行為を繰り返してしまうのは,摂食障害の典型的症状といわれています。
前述したマラソン選手のようにプロアスリートなど,厳しい体重制限を強いられるような方も摂食障害になってしまうことが多いようです。
そして,摂食障害が改善されないまま,摂食障害の影響からクレプトマニア(窃盗症)を患ってしまうということも考えられるのです。

~弁護活動~

万引きや空き巣に代表される窃盗罪は刑法235条に規定されており,法定刑は10年以下の懲役または50万円以下の罰金となっています。
従来,窃盗は金銭的に困窮している人が犯すものであり,罰金刑は意味がないと考えられていましたが,近年お金があるにも関わらず主に万引きなどの窃盗行為を犯す人が増えたため,罰金刑も規定されました。

窃盗罪の場合,初犯であり,金額が多額でなければ罰金刑や執行猶予付きの判決といった実刑とならない場合も多くあります。
しかしクレプトマニア(窃盗症)は先に述べたように,精神疾患の一種であり専門的な治療を受けなければまた万引きなどを繰り返してしまいます。
たとえ,初犯であり罰金や執行猶予付の判決となった場合でも2回目以降は実刑判決となってしまう可能性が非常に高くなります。
しかし,刑務所に入ったとしても刑務所などで行わえる矯正処遇ではクレプトマニア(窃盗症)の根本的な治療にならず,出所後にまた万引きを繰り返してしまう場合もあります。

そのため,弁護士は窃盗をしてしまった方がクレプトマニア(窃盗症)ではないかと疑いを持った時は専門医を紹介するなどして事件の再発防止に努めていきます。
クレプトマニア(窃盗症)として専門医の治療を受けていることや,ご家族の方など周囲の人たちも協力して事件の再発防止に取り組んでいるということは検察官や裁判官に対する情状証拠とすることが可能です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件専門の法律事務所です。
万引きをしてしまいクレプトマニア(窃盗症)ではないかとご不安・悩みの方,ご家族の方は0120-631-881までお気軽にご相談ください。
警察署へ弁護士が向かう初回接見サービスや事務所での無料法律相談のご予約を24時間受け付けています。
埼玉県蕨警察署までの初回接見費用:37,300円

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