電気窃盗で逮捕

2021-06-10

電気窃盗について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
京都府京田辺市のコンビニ店外のコンセントに炊飯器を無断でつないで米を炊くなど調理したとして、京都府田辺警察署は、Aさんを窃盗と建造物侵入の容疑で逮捕しました。
他の客からの報告を受けてAさんの行為に気付いたコンビニの店長が、警察に通報しました。
通報を受けて駆け付けた警察官がAさんに問いただしたところ、店のコンセントを無断で使って調理していたことを認めました。
(フィクションです。)

電気窃盗?

窃盗罪は、刑法第235条に次のように規定されています。

他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

このように、窃盗罪とは、「他人の財物を窃取」する罪です。

■犯罪の対象■

窃盗罪の客体は、「他人の財物」です。
更に詳しく言うと、「他人の財物」とは、「他人が占有する他人所有の財物」です。

「財物」の意義については、大きく分けて2つの見解があります。
①有体性説
財物は、有体物であることを要する説。
②管理可能性説
財物とは、有体物に限らず、管理可能な限り無体物も財物とする説。
ただし、電気と同様の意味での物質性を備えたものに限る。

通説は①有体性説である、財物は有体物と解するのが一般的です。

ただし、刑法第245条では、窃盗及び強盗の罪が規定されている刑法第36条においては、電気は財物をみなすと規定されているため、財物の意義に関する見解のいかんに関わらず、電気は、窃盗罪の客体である「財物」に当たります。

窃盗罪は、「他人の財物を窃取」した場合、つまり、他人の所有する財物の占有を移転し、それを取得した場合に成立するものと理解されます。
そのため、窃盗の対象となる財物は、他人が占有するものであることが必要となります。
刑法で言う「占有」は、財物に対する「事実上の支配」を意味します。
ある財物に対する「事実上の支配」があると言えるためには、客観的要素としての①財物に対する支配という事実と、主観的要素である②支配の意思が必要となります。

①財物に対する支配の事実
財物に対する支配(占有の事実)とは、占有者が財物を事実上支配している状態をいいます。
事実上の支配しているかどうかは、財物自体の特性、占有者の支配の意思の強弱、財物と占有者との距離など客観的・物理的支配関係の強弱などの基準から判断されます。
占有の事実を認めるにあたっては、必ずしも財物を手に持っていることまで必要ではなく、自宅内にある場合や、外であっても財物と占有者との距離がそう離れておらずすぐに財物のあるところに戻ってこれるような距離間であれば、財物に対する支配が認められます。

②支配の意思
支配の意思(占有の意思)とは、財物を事実上支配する意欲・意思のことをいいます。

■行為■

窃盗罪の行為は、「窃取」することです。
「窃取」とは、占有者の意思に反して、財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己または第三者の占有に移すことをいいます。

■不法領得の意思■

窃盗罪の主観的要件として、故意(他人の財物を摂取することの認識)の他に、不法領得の意思が窃盗罪の成立に必要となります。
「不法領得の意思」は、権利者を排除して他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従い利用、処分する意思」のことで、不可罰とされる一時使用と窃盗罪、毀棄罪と窃盗罪とを区別する要素となっています。

上の事例では、Aさんは、コンビニ店の外壁に備え付けられているコンセントを無断で利用して家電器具を使い調理をしています。
電気窃盗のように、形のない物を盗むということはイメージしにくいのですが、Aさんの行った行為については、刑法上の窃盗罪に該当するため、起訴され有罪となれば、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金の範囲内で刑が科されることになります。

しかしながら、初犯であり、被害者への被害弁償や示談が成立している場合には、不起訴処分となる可能性はあります。
事案によってどのような処分が見込まれるのか、どのような弁護をすべきなのかは異なりますので、窃盗事件で逮捕されてお困りの方は、一度弁護士に相談されるのがよいでしょう。

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