ひったくりと窃盗未遂罪

2022-02-12

ひったくりと窃盗未遂罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~刑事事件例~

Aさんは生活費に窮したことからひったくりを決意し、横浜市磯子区にある銀行から出てきたVさんが手に持っている封筒に現金が入っていると思い、これをひったくって逃走しました。
しかしこの封筒にはチラシしか入っておらず、銀行で大量に無料配布されているもので、Vさんもすぐに捨てるつもりでした。
Aさんは駆けつけた神奈川県磯子警察署の警察官に窃盗未遂罪で逮捕されました。
(フィクションです)

窃盗罪とは?

Aさんが行った窃盗罪と、盗んだものの価値について見ていきましょう。
①窃盗罪とは
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。(刑法第235条)
他人が占有する財物を窃取する行為は、窃盗罪を構成します。
②窃盗罪の保護法益
事実上の占有権が窃盗罪の保護法益にあたります。
③「財物」とは
所有者にとって、客観的に価値がないものであっても、主観的価値(使用価値・利用価値)があれば財物となります。
・「財物」となるもの
財物に対する主観的な価値は、「それを保存しておきたい。」という積極的な意思だけではなく、「他人に渡さないため」あるいは「悪用を防ぐために廃棄する」といった消極的な意思でも成り立ちます。
・「財物」とならないもの
経済的価値が極めて少なく、客観的にも主観的にも全く価値のないものは財物ではありません。 
※ですから、「財物」にならないものを窃取しても、未遂罪にとどまります。 

刑事事件例について

上記の通り、Aさんが窃取したチラシは刑法上保護すべき「財物」とは認められないことから、Aさんには窃盗未遂罪が成立すると思われます。

関係判例

Aさんのような財物ではないものを盗んだことについての裁判は、昭和54年に判決がでています。
無料配布の広告パンフレットは客観的にも主観的にも財産的価値がないから、これを窃取しても未遂にとどまる(東京高等裁判所判決昭和54年3月29日)。

逮捕されたAさんの今後について

逮捕されたAさんは48時間以内に検察庁の検察官のもとに送られます。
検察官は、24時間以内にAさんを勾留するか釈放するかを決め、勾留する場合は裁判所に勾留請求をします。
勾留請求を受けた裁判所の裁判官は、Aさんを勾留するかどうかを決定します。
裁判所の裁判官による勾留決定が出た場合、Aさんは10日~20日間警察署の留置場などに留置されることになります。
その後は起訴され裁判になるか、または起訴猶予による不起訴となり裁判にならないこともあります。

しかし、早期に弁護士に依頼をすることにより釈放や不起訴を勝ち取り逮捕や勾留、裁判や前科を回避できる可能性があります。
窃盗事件は被害者の方が存在するため、被害者の方への被害弁償や示談の成立が大切です。
窃盗罪の被害届が提出される前に、被害者の方に対して被害を弁償して示談を成立させることができれば、警察が捜査をする前に前科をつけずに事件を解決できる可能性があります。
すでに警察が捜査をしている場合であっても、被害者の方との間で、被害弁償及び示談を成立させることで、逮捕や勾留による身柄拘束をされることがなく早期に職場復帰や通学が出来る可能性を高めることができます。
また被害金額が少なく、同じような前科がなければ、示談の成立により起訴猶予による不起訴処分を目指すことも可能です。
起訴猶予による不起訴処分になれば前科はつきません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件専門の法律事務所です。
ご家族が窃盗未遂罪で逮捕されてしまいお困りの方、釈放・不起訴にしてほしい方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

 

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