(法律紹介)「盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律」~常習累犯窃盗罪とは
(法律紹介)「盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律」~常習累犯窃盗罪とは
前回の記事でも取り上げた通り、窃盗事件は比較的私達の生活の近くにある刑事事件の1つでしょう。
万引きや置引きなどは、やろうと思えば誰でもできてしまう犯罪行為でしょうし、実際に日本で起きている刑事事件の中で窃盗事件の占める割合は大変多いです。
そして、前回の記事で紹介した通り、窃盗事件では、窃盗行為を繰り返してしまうという方も多数いらっしゃいます。
そうした、何回も窃盗事件を起こしてしまうという場合について、常習累犯窃盗罪という犯罪が成立することがあります。
今回の記事では、この常習累犯窃盗罪という犯罪について紹介します。
~常習累犯窃盗罪~
常習累犯窃盗罪という犯罪は、「盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律」という法律に定められています。
盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律第3条
常習トシテ前条ニ掲ゲタル刑法各条ノ罪又ハ其ノ未遂罪ヲ犯シタル者ニシテ其ノ行為前十年内ニ此等ノ罪又ハ此等ノ罪ト他ノ罪トノ併合罪ニ付三回以上六月ノ懲役以上ノ刑ノ執行ヲ受ケ又ハ其ノ執行ノ免除ヲ得タルモノニ対シ刑ヲ科スベキトキハ前条ノ例ニ依ル
(注:「前条ニ掲ゲタル刑法各条ノ罪」とは、盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律第2条の「刑法第二百三十五条…第二百三十九条ノ罪」を指し、「前条ノ例」とは、盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律第2条の「三年以上…ノ有期懲役ニ処ス」を指します。)
条文をご覧いただいて分かるように、この法律は昭和5年に作られた法律であり、かなり古い法律となっています。
読みづらいかもしれませんが、大まかにまとめると、盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律第3条では、「常習として刑法の窃盗罪などの罪やその未遂罪を犯し、その本件以外に、過去10年以内に窃盗罪や窃盗未遂罪などの罪で、3回以上6か月の懲役以上の刑の執行を受けるか、その執行の免除を受けた者」に常習累犯窃盗罪が成立するとしています。
例えば、窃盗事件を起こした犯人が、常習的に窃盗行為をしており、かつ、過去10年の間に窃盗罪で懲役2年、懲役1年、懲役6月という前科のある人だったとします。
その場合、この犯人に成立するのは、窃盗罪ではなく常習累犯窃盗罪となります。
なお、この「過去10年以内に窃盗罪等の罪で3回以上6か月の懲役以上の刑の執行を受ける」という条件の刑の執行の回数については、執行猶予の取消しによって刑罰を受けるときも含まれます。
つまり、窃盗罪の執行猶予判決を受け、その執行猶予期間中に再度窃盗罪を受けて執行猶予が取り消され、起こした窃盗罪についても実刑判決を受けたという場合には、2回分刑の執行を受けたというカウントになります。
窃盗罪の法定刑が「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」であるのに対し、この常習累犯窃盗罪の法定刑は「3年以上の有期懲役」となっています。
罰金刑の規定がなく、かつ、懲役刑の下限(最低3年)が決まっているため、単なる窃盗罪よりも常習累犯窃盗罪の方が重く処罰されることとなります。
常習累犯窃盗罪は、窃盗行為等を繰り返す人に対し、より重く処罰しようと規定された犯罪のため、このような形となっているのです。
常習累犯窃盗罪となるほど窃盗行為を繰り返してしまう場合、単に示談等を行うだけではなく、その後再度窃盗行為をしないように再犯防止の取り組みをすることなども重要となってきます。
そうした活動によって、刑罰の減軽や執行猶予を目指していくことが考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、常習累犯窃盗事件を含めた窃盗事件についても、刑事事件を多数扱う弁護士がサポートしていきます。
お問い合わせは0120-631-881で受け付けておりますので、まずはお気軽にお電話ください。