窃盗と保釈

2021-09-08

窃盗と保釈について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

電車で帰宅中のAさん(20歳)は、酒に酔って寝入っている男性Vさんのカバンを持ち去り、中に入っていた財布から現金2万円を抜き取りました。眠りから覚めたVさんは被害に遭ったことに気づき、警察に通報したところ、防犯カメラの映像などからAさんの犯行であることがわかりました。Aさんは窃盗罪で逮捕され、執行猶予中であったことから起訴されてしまいました。Aさんの母親はAさんを保釈して欲しいと弁護士に相談しました。
(フィクションです。)

~置引き~

Aさんの行為はいわゆる置き引きにあたります。
置引きとは、置いてある他人の財物を持ち去る行為をいいます。
置引きは、刑法などの法令に規定されている罪名ではなく、「ひっったくり」や「万引き」と同様、窃盗罪の態様として慣用的に使われている言葉の一種です。
置引きは、万引き、車上狙い(荒らし)に次いで多い手口と言われています。

置引きは窃盗罪(刑法235条)あるいは占有離脱物横領罪(刑法254条)に当たる可能性があります。

刑法235条
 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

刑法254条
 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。

窃盗罪は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」、占有離脱物横領罪は「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料」と両罪は法定刑に大きな違いがあります。
窃盗罪と占有離脱物横領罪を区別する基準は、被害者の財物に対する支配が及んでいるか否かという点です。及んでいる場合は窃盗罪、及んでいない場合は占有離脱物横領罪が成立します。

~保釈~

保釈されるには保釈の要件をクリアする必要があります。
保釈許可の要件は、大きく分けて、「権利保釈」と「裁量保釈」の2つがあります。
「権利保釈」とは、刑事訴訟法89条各号に掲げる事由に該当しない限りは保釈を許可するというものです。「裁量保釈」とは、たとえ、刑事訴訟法89条各号に掲げる事由に該当したとしても、裁判所が、「被告人が逃亡し又は罪証を隠滅するおそれの程度のほか、身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上又は防御の準備上の不利益の程度のその他の事情」を考慮し、保釈を許可するというものです。
被告人に国選弁護人がついている場合、保釈請求の手続きはその弁護人が行いますが、国選弁護人の対応に納得がいかない場合は私選弁護人に依頼するのも一つの方法です。

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